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Episode 11 Balser and the Fire Bear Part One(2)


Episode 11 Balser and the Fire Bear Part One. (Charles Major) パルサーと火吹きぐま(チャールズ・メージャー)
AMERICAN SHORT STORIES
それまでブルー川の開拓者たちは,火吹きぐまの言い伝えをばかにして笑っていましたが,
パルサーは今では,そのようなものが実際にいると信じ始めました.
彼が見た時に,くまが炎を上げて燃えていなかったことは確かですが,やみの中で赤い光を放っているようには見えたのです.
火吹きぐまの言い伝えの中には,怒った時に炎を上げて燃えるんだという話もあります.
火吹きぐまが森の中で火事を起こして,納屋や家を燃してしまったというのです.
しかし,多くの人たちは,こういったばかげた話をあざけり笑っていました.
これらの火は,インディアンがつけたものだというのです.
火吹きぐまの言い伝えの中で,一つだけ特に変わっていて信じがたいのがあります.
それによると,火吹きぐまをじっと見た人は,その人がそのくまを殺さない限り,3か月後には死ぬ,というのです.
ブルー川の部落の年寄りたちは,昔からあの辺りに火吹きぐまがいたと言っていました.
多くのハンターたちが火吹きぐまを見つけようとしましたが,
だれも見つけることができませんでした.
火吹きぐまを見かけたという人は,たった10人ほどしかいませんでした.
そして,この奇妙な恐ろしい生き物を見てから3か月以内に,みんな死んでいるのです.
子どもたちは,くまについてのこういった話にじっと耳を傾けていました.
恐ろしくてぞくぞくしてきました.
ポーリーはまだくまから逃れてきた時の疲れが残っていて,がたがたと震えていました.
彼は長い間黙っていましたが,
やがてこう言いました.「パルサー,教会へ行って信者になろうよ.
3か月後には死ぬんだから.
これはもうまちがいなくやってくるにちがいないことなんだ.ぼくの名前がポーリー・バロットであるのと同じくらい,まちがいないことなんだぜ.
だから,パルサー,ぼくたちは天国へ行く心の準備をしたほうがいいんじゃないかと思うんだよ.
あのくまを見た人で,3か月後には生きていて話をしてくれた人はだれひとりいないんだから」
パルサーの隣に座っていたライニーは,そっと彼の腕に触りました.
彼女はこう言いました.「私もあのくまを見たわ.
あなたが出ていく時,あとからついていったのよ.そうしたら,何か光るものが納屋のすぐ下の氷の上を通って,川を渡っていくのが見えたの.
あれがそのくまなの?」
「そう,そうなんだよ!」パルサーは大声で言いました.
「なんてことをしてくれたんだ,ライニー.どうして家で待っていなかったの?」
ライニーが泣き出すと,ジムやリンピーも泣き出しました.
パルサーも涙を見せまいとして苦労しました.
やがて彼は立ち上がって言いました.「みんな,泣くのはおよし.
ぼくは3か月の半分とたたないうちに,あのくまを殺してやる.
そうとも,一月とたたないうちに殺してやるさ.
ライニーが見た以上,どうしてもあのくまを殺してやるぞ.それで万事解決だ」
ライニーはパルサーの顔を見上げました.
彼女の目には,やさしさがあふれていました.
「彼は私たちを助けてくれるわ,ポーリー‥.
彼はあの片耳のくまを殺したんだから‥.あのたちの悪いくまを‥.火吹きぐまよりもたちが悪かったのよ」
ポーリーは,ライニーからパルサーへ視線を移しました.
ボーリーはため息をついて火のそばに腰をおろし,じっと燃える火を見つめていました.
そのうち彼は床の上に横たわって,寝こんでしまいました.
子どもたちは黙ったまま座っていました.
やがて,ジムがポーリーの横に寝そべって目を閉じました.
リンピーも頭がぼんやりしてきたかと思うと,まもなく寝こんでしまいました.
パルサーとライニーは静かに寄り添って座り,暖炉の火が燃えるのをじっと見つめていました.
熱くなった石炭が2人の顔に柔らかな赤い光を当て,部屋の後ろのほうの影はしだいに暗くなっていきました.
2人の頭の中は,火吹きぐまの奇妙な話でいっぱいです.
2人はこの生き物を見たのですから,これらの言い伝えは人ごとではないのです.
2人はこのくまを見て,その不思議な力のために死んでいった人たちのことを考えました.
3か月…パルサーがあのくまを殺さない限り,2人の命は3か月しかないのです.
火の照り返す熱のために,ライニーのまぶたは重たくなっていき,やがて彼女も寝こんでしまいました.
パルサーはいとおしみながら,彼女の寝顔をのぞきこみました.
なんとかして彼女を助けたい‥.それに,ポーリーも…自分も助かりたい‥.
どうしても,この恐ろしい火吹きぐまをやっつけなくてはならない.
夜が更けて-10時ごろ両親が帰ってきました.
寝ていた連中はみんな目を覚ましました.
全員が同時に火吹きぐまの話を始めました.
「パルサー,そのくまのことを私に聞かせておくれ」この話は本当らしいと思い始めたフォックス氏が言いました.
フォックス夫妻とブレント夫妻は,パルサーたちがあのあかあかと光を放っているくまを見た時の模様を,パルサーが話すのを真剣に聞いていました.
やがて,ブレント夫人がコーヒーを入れてケーキを持ってくる間に,大人たちはこの不思議な怪物について,自分たちが聞いた話をひとつ残らず話しました.
話が終わった時には,もう夜もだいぶ更けていましたので,フォックス夫妻はその晩は泊めてもらうことにしました.
翌朝,いとまを告げる前に,ライニーはパルサーにささやきました.「あのくまを狩りに行く時は,私に教えてね.
あなたのためにお祈りをささげようと思ってるの.‥」
パルサーは,愛情のこもったまなざしで彼女の顔を見つめました.
「ありがとう,ライニー」彼は言いました.
「すぐに準備するよ」
パルサーは自信満々の様子でした.
彼が言ったとおりになるかどうかは,やがてわかるでしょう.
アメリカの短編小説『パルサーと火吹きぐま』をお送りしました.
物語の原作者はチャールズ・メージャー,語り手はジャック・モイルズでした.
「アメリカの声」では,来週もこの番組の続きをお送りします.
パルサーが,ブルー川のこの奇妙な怪物を退治する模様をお送りしますので,どうかお聞きください.
 
Reproduced by the courtesy of the Voice of America
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