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The Fall of the House of Usher Part One(1) アッシャー家の崩壊


The Fall of the House of Usher Part One アッシャー家の崩壊
EDGAR ALLAN POE: STORYTELLER. エドガー・アラン・ポー物語シリーズ
100年余り昔のアメリカの作家,エドガー・アラン・ポオが書いた短編の一つを,「やさしい英語」の朗読でお送りします.
これらの物語は,特にアメリカの口語英語の理解に役立つように書いてあります.
きょうは,ポオが書いた『アッシャー家の崩壊』という小説の3部に分かれた物語の第1回を聞いていただきましょう.
アッシャー家の最後の1人-つまり,アッシャー一族の最後の1人である,ロデリック・アッシヤーの異様な死についての物語です.
年の暮れの,暗くてしんとした日のことだった.空には雲が低く垂れ込めていた.
私は,その日は朝から,生命の息吹も美しさもほとんど失ってしまった田園を,馬に揺られながら通り抜けてきたのであるが,アッシャー家が見えてきたのは,夕方のまだ早い時刻であった.
詳しいことは覚えていないが,その建物を初めて見た瞬間,私の心は深い悲しみに覆われた.
私は眼前の光景をながめた-家のたたずまい,周りの土地,建物の冷え冷えとした石の壁,人間の目のような形をした人気のない窓,幾本かの枯木-私はこういった光景をながめたのであるが,その時の気持ちは何とも活気のない,この世のものとは思えないような深い悲しみに覆われていた.
心は重苦しい冷たさに支配されていて,そこには,この重苦しい気分を軽やかにしてくれるようなものは,何ひとつとして見当たらなかった.
私は自問した-私がながめたアッシャー家の光景の中で,一体何がそんなに恐ろしかったというのだろう.
私には答えることのできない問いであった.
私は暗くて静かな湖の岸辺で,建物のそばに馬を止めた.
そこからは,枯木や家屋や人の目のような形をした人気のない窓などが,水面にはっきりと映るのが見えた.
私はこれから数週間を,この悲しみと陰うつさに満ちた家で過ごすことになるのだ.
この家の所有者の名はロデリック・アッシヤーといった。
私とは幼なじみであるが,もう何年もの間会っていなかった.
私のところに彼からの手紙が届いたのだが,それは乱暴な手紙で,この手紙が届き次第必ず返事を書く代わりに会いにこい,というのであった.
彼は手紙の中で,自分は心身ともに病んでいて,ただ一人の親友である私に何が何でも会いたいのだと言ってよこした.
彼がこれらのことを真情を吐露して書いてきたので,私には拒むことができなかったのだ.
子どものころ一緒に過ごしたとはいえ,私はこの友人のことをほとんど知らなかった。
しかし、彼の家はたいへんな旧家で,あらゆる芸術のよき理解者であることや,貧しい人たちに対する目立たない親切な行為の数々で,昔から有名であったことは,私も知っていた.
それに私は,この家が決して多くの親族を抱えた大家族ではなかったことも知っていた.
家は常に父から子へと継がれ,「アッシャー家」と言う時,だれもが家柄と家屋の両方をさしていたのである.
私は湖水に映った家の絵から目を上げて,再び家のほうを見た.
私の頭の中に不思議な考えが浮かんだ-あまりに得体の知れない考えなので,このことを話せば,私の心の中に重くのしかかっていた感情が,どんなものだったかおわかりいただけるだろう.
家全体を覆っている空気も,周りの土地に漂っている空気も,私には全くただならぬものに思えたのである.
それは大空の空気ではなかった.
ここの空気は,枯れ朽ちゆく木や灰色の壁や静かな湖面から立ちこめていた.
私の目に映るのは,胸の悪くなるような病的な空気であって,重苦しく灰色に包まれ,かすかに動いていたのである.
私は心の中から妄想を追い出し,この建物をもっと丹念にながめた.
一見してまずわかることは,いかにも年代の古い建物であることであった.
壁の落ちたところはどこにも見当たらなかったが,石はかなり風化していた.
よく見れば,建物の前面にひび割れが始まっているのがわかっただろう・・・この割れ目は壁を伝って下方へのびており,ついには暗い湖水の中に消えていた.
私は,この家に通じる短い橋を馬で渡っていった.
この家で働いている男、つまり召使い、に馬を預けて,私は中へ入った.
もう一人の召使いが静かな足取りで,一言も口をきかずに,暗いところを何度も曲がって,主人の部屋へ私を案内した.
どういうわけか,途中出くわした多くのことが,先に話した不思議な気持ちをますます強める結果となった.
黒っぽい壁掛け,まっ黒な床板,はるか昔の戦いから持ち帰った品品、こういったものは,赤ん坊のころからなじんでいたと言ってもいいようなものだし,すべて予期したとおりであった.にもかかわらず,こういった何でもないものから奇妙な考えが浮かんでくるのが,いまだに不思議でならなかった.
 
Reproduced by the courtesy of the Voice of America
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