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LITTLE WOMEN 若草物語 13-3

Chapter Thirteen Castles In The Air 美しい空中楼閣 3

Alcott, Louisa May オルコット ルイーザ・メイ
AOZORA BUNKO 青空文庫
「おかあさんが、あなたにはなにかいい動機があれば、きっとすばらしいことなさるって、いってらしたわ。」
ぼくは、おじいさんの、気にいるようにしたいんだが、できないんですよ。
おじいさんは、後つぎにして、インド貿易商にしたがっているんです。
だけど、ぼくいやだ。大学へ四年いくだけで、満足して下さればいいのに、
ああ、おじいさんを世話して下さるかたがあれば、ぼくは明日にも家をとび出すんだがなあ。」
 ローリイは、ひどく気がたかぶっていました。かれには青年の熱情があり、じぶんのちからで世の荒浪をのりきっていこうとして、いるのでした。
ジョウは同情して、「あなたの船で海へのり出し、したいほうだいなことして、あきるまで帰らなければいいわ。」と、じぶんの好きな空想であおりました。びっくりしたメグはいいました。
「いけないわ。ジョウ、
あんなこといって、ローリイもそんな忠告聞いてはだめ。
あなた大学で一心に勉強すれば、おじいさんもいつまでもがんこなこといわないで、きっとあなたの望みをかなえて下さいます。
だから、さびしがったり、いらいらしないで、じぶんの務めをはたすようになさいね。そうすれば、ブルック先生のように、みんなからたっとばれ愛されるようになります。」
 それから、メグは、ブルック先生が、おかあさんのなくなるまで孝養をつくしたこと、おかあさんからはなれたくないので、家庭教師として外国へいけるのをことわったこと、
そして、今でもなくなったおかあさんの看病をしてくれたおばあさんに、まい月、仕送りをしていること、それをだれにもいわずにいたことなど、ローリイのおじいさんが、メグのおかあさんに話したことを話し、
どうかそのりっぱなブルック先生を満足させるように、よく勉強しなければいけないと、まるで、ねえさんみたいに、ローリイにいって聞かせました。そして、こうつけ加えました。
けれど、まるでほんとの兄弟みたいな気がするものですから、思ったとおりのこというのよ。」
 ローリイは、親切なメグの言葉をありがたく思い、「ねえさんのように、ぼくの欠点をいって下さって
ありがとう。今日はぼくふきげんだったけど、これでさっぱりした。」
ローリイは、できるだけ愉快にしようとして、メグの糸をまいてやったり、ジョウをよろこばそうとして、詩をうたったり、ベスに松ぼっくりを落してやったり、エミイの写生を手つだってやったりはたらきばち会の会員にふさわしいように努めました。
「ぼく、また来てもいい?」
 メグは、にこにこして、「ええ、おとなしくして、本が好きになれたらね。」
「好きになります。」
「じゃ、いらっしゃい、あみもの教えてあげるわ。スコットランド人は、男でもあみものするのよ。
 その晩、ベスはローレンス老人のためにピアノをひきましたが、ローリイはそれをカーテンのかげにたたずんで聞きました。ベスのあどけない音楽は、ローリイの気持をしずめてくれ、おじいさんのことが、しみじみとなつかしく思われるのでした。
そして、その日の午後のメグの話を思い出しながら、よろこんで犠牲をはらうつもりで、「ぼくは、空中楼閣なんてすてて、おじいさんが望むだけ、いつまでも、いっしょにいてあげよう。おじいさんは、ぼくだけしか、頼る人がないんだもの。」と、ひとり言をいいました。
 
Copyright (C) Louisa May Alcott, Masaru Mizutani
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