HOMEAOZORA BUNKOLITTLE WOMEN

ホーム青空文庫若草物語

※本文をクリック(タップ)するとその文章の音声を聴くことができます。
  右上スイッチを「連続」にすると、その部分から終わりまで続けて聴くことができます。
で日本語訳を表示します。
※ "PlayBackRate" で再生速度を調節できます。
※青空文庫の作品は、原文の逐語訳になっていない部分があります。その部分は日本語訳が欠落しています。ご了承ください。

LITTLE WOMEN 若草物語 19-1

Chapter Nineteen Amy's Will エミイの遺言状 1

Alcott, Louisa May オルコット ルイーザ・メイ
AOZORA BUNKO 青空文庫
 家でこういうことが起っているあいだ、エミイは、マーチおばさんの家で、まことにつらい日を送っていました。
エミイは、まるで島流しにあったようなわが身をふかく悲しみ、わが家でどんなにかわいがられていたかということを、生れてはじめて感じました。
 マーチおばさんは、親切でしたが、けっして人をあまやかすようなことをしませんでした。エミイはしつけがいいので、たいそう気にいりました。
それで、エミイをかわいがり、幸福にしてやりたいと思いましたが、ざんねんながら、その方法がまちがっていました。
 マーチおばさんは、すべて命令ずくめで、きちょうめんで、くどい長いお説教で、エミイを教育しようとしましたが、
これがまたエミイをすっかり不幸にし、まるでじぶんはくものあみにかかったはえのようだと思いました。
 エミイは、まい朝、茶わんをあらい、スプーンや湯わかしを、ぴかぴかに光るまでみがかなくてはなりませんでした。
おばさんはちり一つ見のがさないので、なんとまあおそうじはつらかったでしょう。
それから、おおむのポーリーに餌をやり、ちんの毛をくしけずり、足のわるいおばさんの用事を、なん度も召使のところへいいにいったり、階段をのぼったりくだったり、
その後の一時間! そのとき運動か遊びを許されるので、どんなにたのしかったでしょう!
 ローリイは、まい日訪ねて来て、エミイの外出を許してもらうように口説きたて、やっと許されると、二人は散歩したり馬車にのったりして、たのしい時をすごしました。
お昼の御飯を食べてから、おばさんに本を読んで聞かせます。おばさんがねむってしまっても、じっとしてすわっていなければなりませんでした。おばさんは、はじめの一ページでいねむりをやりだし、たいてい一時間はねむりました。
それから、夕方まで、つぎはぎ仕事などをしなければなりませんでした。夕飯までしばらくのあいだ遊びますが、
夕飯をすましてからは、マーチおばさんのわかいときの話やお説教を聞かされたいくつしてしまいます。そして、やっと話がおわると、エミイはねるのですが、つらい身の上を思いきり泣こうと思っても、一二滴の涙しかこぼさないうちに、いつもねむってしまいます。
 もしローリイと、エスターばあやがいなかったら、こんなおそろしいまい日を、がまんできないとエミイは思いました。
 エスターばあやだけは、エミイをほんとにかわいがってくれました。
ばあやはフランス人で、マーチおばさんと長年暮らし、おばさんもこのエスターをいなければならぬ人と思っていました。
ばあやは、エミイにフランスにいたころのめずらしいお話を聞かせてたのしませました。
また、広い家のなかを勝手に歩きまわらせて、大きな戸だなや、古風なたんすにしまいこんだものを、自由に見させてくれました。
「もしおばさんが遺言なさる場合、あなたはどれがほしいと思いますか?」と、そばについていて、かぎをおろすエスターが尋ねました。
「あたし、ダイヤモンドが一ばん好き。だけど、ダイヤモンドの首かざりはないから、この首かざり」と、
エミイは答えて、金と黒たんのじゅ玉でできて、さきに十字架のついた首かざりに見とれました。
「あたしも、これが一ばん好きですが、首かざりにはもったいない。
「ええ、あなたもお祈りなさるといいですよ。化粧室を礼拝堂につくってあげましょう。
おばさんがいねむりをなさっているあいだに、じっとすわって、神さまにおねえさんをおまもり下さるように、お祈りあそばせ。」
 エミイは、その思いつきが気にいり、礼拝堂をつくるように頼みました。
「あなたと、おねえさんたちのところへいくのですよ。
「まあ、うれしい。今、下さればいいのに。」
はじめに結婚なさるかたに真珠、それから、あなたがお帰りになるときには、トルコ玉の指輪、おくさまはあなたが、お行儀がいいといって、ほめていらっしゃいました。」
「ほんと? あの美しい指輪がいただけるの。まあ、うれしい。やっぱりおばさん好き。」と、
エミイは、うれしそうな顔をして、それをきっと手にいれようと心をきめました。
 その日から、エミイは、おとなしく、なんでもいうことを聞いたので、マーチおばさんはじぶんのしつけが成功したと思って、たいそう満足しました。
エスターは、礼拝堂をつくってくれ、聖母の絵をかいてくれました。
遊び時間に、エスターから法律上の言葉を教えてもらって、じぶんの所持品を公平にわけることを書きました。 エスターは証人となって署名してくれました。エミイは、ローリイに、第二の証人になってもらうつもりでした。
 
Copyright (C) Louisa May Alcott, Masaru Mizutani
QRコード
スマホでも同じレイアウトで読むことができます。