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LITTLE WOMEN 若草物語 5-4

CHAPTER FIVE Being Neighborly おとなりどうし 4

Alcott, Louisa May オルコット ルイーザ・メイ
AOZORA BUNKO 青空文庫
老人はジョウの手をにぎり、その顔をのぞきこんで、「顔はにていなくても、あなたは、りっぱなおじいさんの性質をうけついでいる。
おじいさんは勇気があり正直だった。わたしは、あのかたと、友だちであったことを誇りに思っていますわい。」
「ありがとうございます。」 ジョウは、気がらくになりました。
「あなたは、家の子と、なにをしていなさったのかね? ええ?」
「近所づきあいをしようとしただけです。」
「あなたは、あの子を元気づける必要があるとお考えかね?」
「ええ、すこしさびしそうですもの。わかいお友だちがあるといいでしょう。わたしたち、女ですけど、お役にたちたいと思います。あなたのとどけて下さったりっぱなクリスマスのプレゼントを、とてもありがたく思っていますのよ。」
「いや、あれはあの子の考えたことじゃ。ところで、あの気のどくな婦人はどうしたな?」
「そうか、おかあさんのやり口は、いつも貧乏な人たちを恵んだおじいさんのやり口とおなじだ。いつか天気のいい日に、おかあさんをお訪ねしたいといっておいて下され。ほら、お茶のベルだ。さあいっしょにお茶をのんで、近所づきあいをしてもらおう。」
 ローレンス老人は、礼儀正しくジョウにうでをさし出し、
二人はうでをくんで階段をおりていきました。すると、そこへローリイが帰って来て、そのありさまを見てびっくりしました。まったく、これは考えることもできないことでした。
 老人は、四はいのお茶をのむ間、あまりしゃべりませんでした。老人は、ローリイがジョウと快活にしゃべって、
顔が今日にかぎって、あかくいきいきしているのを見まもっていたからです。
「ふむ、この娘のいうとおり、孫はさびしいのだ。今日、孫はかわった。よし、この家の娘たちが、孫をどうするか見ていよう。」
 老人も、ほんとは気さくで、こだわりがない人だったのです。だから、孫のことも理解することができました。
お茶がすむと、ジョウは帰るといい出しましたが、ローリイはひきとめて、ジョウを温室へつれていき、
「これ、おかあさんにあげて下さい。そして、おとどけ下すったお薬、とても気にいりましたとおっしゃって下さい。」
 客間へ帰ったとき、老人は炉の前に立っていました。ジョウの目は、そこにあるグランド・ピアノにすいつけられました。
「ときどき」と、ローリイは、ひかえ目に答えました。
「今、ひいてちょうだい。帰ったらベスに話してやりたいから、聞いていきたいの。」
「あなた、さきにひかない?」
「あたしだめなの。音楽はすきだけれど。」
 ローリイがひきました。ジョウは花たばに鼻をおしつけながら、耳をすましました、
ローリイが、じょうずなのに、ちっとも気どらないので尊敬をよせました。
 
Copyright (C) Louisa May Alcott, Masaru Mizutani
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