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The Last Leaf 2 最後の一葉2

O.Henry
AOZORA BUNKO 青空文庫
「じゅうに」とジョンジーは言い、少し後に「じゅういち」と言いました。 それから「じゅう」「く」と言い、それから「はち」と「なな」をほとんど同時に言いました。
スーはいぶかしげに窓の外を見ました。
何を数えているのだろう? 
そこには草もなく わびしい庭が見えるだけで、 煉瓦の家の何もない壁は二十フィートも向こうなのです。
根元が節だらけで腐りかかっている、 とても、とても古いつたがその煉瓦の壁の中ほどまで這っていました。
冷たい秋の風は つたの葉に吹き付けて、 もう裸同然となった枝は崩れかかった煉瓦にしがみついているのでした。
「なあに?」スーは尋ねました。
「ろく」とジョンジーはささやくような声で言いました。
「早く落ちてくるようになったわ。
三日前は百枚くらいあったのよ。
数えていると頭が痛くなるほどだったわ。
でもいまは簡単。 ほらまた一枚。
もう残っているのは五枚だけね」
「何が五枚なの? 
スーちゃんに教えてちょうだい」
「葉っぱよ。つたの葉っぱ。
最後の一枚が散るとき、わたしも一緒に行くのよ。
三日前からわかっていたの。
お医者さんは教えてくれなかったの?」
「まあ、そんな馬鹿な話は聞いたことがないわよ」スーはとんでもないと文句を言いました。
「古いつたの葉っぱと、あなたが元気になるのと、 どんな関係があるっていうの? 
あなたは、あのつたをとても大好きだったじゃない、おばかさん。
そんなしょうもないこと言わないでちょうだい。
あのね、お医者さんは今朝、あなたがすぐによくなる見込みは ―― えっと、 お医者さんが言ったとおりの言葉で言えば ―― 「一に十だ」って言うのよ。
それって、ニューヨークで電車に乗るとか、 建設中のビルのそばを通るぐらいしか危なくないってことよ。
ほらほら、スープを少し飲んで。 そしてこのスーちゃんをスケッチに戻らせてね。 そしたらスーちゃんは編集者にスケッチを売ってね、 病気のベビーにはポートワインを買ってね、 はらぺこの自分にはポークチョップを買えるでしょ」
「もう、ワインは買わなくていいわ」目は窓の外に向けたまま、ジョンジーは言いました。
「ほらまた一枚。
ええ、もう、スープもいらないの。
残りの葉は たったの四枚。
暗くなる前に最後の一枚が散るのを見たいな。
そして私もさよならね」
「ジョンジー、ねえ」スーはジョンジーの上にかがみ込んで言いました。 「お願いだから目を閉じて、私の仕事が終わるまで窓の外を見ないって約束してくれない? 
この絵は、 明日までに出さなきゃいけないのよ。
描くのに明かりがいるの。 でなきゃ日よけを降ろしてしまうんだけど」
「他の部屋では描けないの?」とジョンジーは冷たく尋ねました。
「あなたのそばにいたいのよ」とスーは答えました。
「それに、あんなつたの葉っぱなんか見てほしくないの」
「終わったらすぐに教えてね」とジョンジーは言い、目を閉じ、 倒れた像のように白い顔をしてじっと横になりました。「最後の一枚が散るのを見たいの。
もう待つのは疲れたし。
考えるのにも疲れたし。
自分がぎゅっと握り締めていたものすべてを放したいの。 そしてひらひらひらっと行きたいのよ。 あの哀れで、疲れた木の葉みたいに」
「もうおやすみなさい」とスーは言いました。
「ベーアマンさんのところまで行って、 年老いた穴倉の隠遁者のモデルをしてもらわなくっちゃいけないの。
すぐに戻ってくるわ。
戻ってくるまで動いちゃだめよ」
 
Copyright (C) O.Henry, Hiroshi Yuki(結城 浩)
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