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The Cask of Amontillado(1) アモンティラードーの樽


The Cask of Amontillado アモンティラードーの樽
EDGAR ALLAN POE: STORYTELLER. エドガー・アラン・ポー物語シリーズ
アメリカの作家、エドガー・アラン・ポオが書いた短編の一つを、「やさしい英語」の朗読でお送りします。
これらの朗読が、アメリカの口語英語の理解に役立つことを願っています。
では、ポオの『アモンティラードーの樽』という小説をお聞きください。
アモンティラードーというのは、スペインの特別に上等のワインのことです。
通常、ワインは瓶に詰めて保存するものです。
この物語では、特別のアモンティラードーが木製の大きな容器・・・つまり、樽に入れてあったのです。
それは実にすばらしいワインでした、というよりは、すばらしすぎたとでも言っておきましょう。
お聞きください。
私はそれまで、たびたびフォーチュナートーから痛めつけられ、苦杯をなめさせられていた。
ところが、ある時、私は彼が私の誇りとしているモントレゾールという名前の由緒ある家名なのだが、これをあざけり笑ったことを知ったのである。
私はこのお返しをしてやろうと決心した。つまり、復讐を決意したのである。
しかし、断っておくが、私はこのことをだれにももらしてはいないのである。
そうとも、彼には必ず償いをさせてやるんだ。しかし、私は細心の注意を払って振る舞ってみせるぞ。
敵討ちの結果、こちらに被害が及ぶようなことがあってなるものか。
復しゅうするということは悪いことではあるが、そのためにこちらが被害を受けるというのでは、道理にかなっているとは言えない。
復讐するということは、それによってフォーチュナートーが償っているということと、だれに対して償いをさせられているのかということを自覚するのでなければ、道理にかなっているとは言えないのだ。
私はフォーチュナートーから疑いを持たれるようなことは、何ひとつしなかった。
私は彼の前では、相変わらずほほえんでみせることを忘れなかったが、彼のほうは、私が彼に対してもくろんでいること、つまり、復しゅうのことに思いをめぐらしてほほえんでいる、ということまでは見抜けなかったのである。
フォーチュナートーはがんじょうな作りで、恐れるに足る男であった。
しかし、一つだけ大きな弱点を持っていた。彼はいいワインには目がなく、それもたいへんな深酒をするのであった。
だから、彼はいいワインに通じていて、自分でも利き酒の資格を備えていると誇らしげに信じていた。
私も古いワインに詳しかったので、手に入る最高のものを買い求めた。
ワインで復讐してやろうと思ったのである。
ある春の宵に辺りがほとんど暗くなったころ、私はフォーチュナートーが1人で歩いているところに、ぱったりと出会った。
彼はいつもよりも親しげに私に話しかけてきた。もうすでにワインが適量を越えて入っていたからである。
私は会えてよかったという素振りを見せ、まるで彼が無二の親友ででもあるかのように、彼と握手を交わした。
「フォーチュナートーくんじゃないか。ごきげんいかがかね」
「やあ、こんばんは、親愛なるモントレゾールくん」
「やーあ、フォーチュナートーくん、会えてよかった。
ちょうどきみのことを考えていたところなのだよ。
実はねえ、最近買ったワインをたしなんでいたところなのだ。
アモンティラードーとかいう、いいワインなのだそうだがね。こいつを1樽買ったのさ。
ところがね……」
「アモンティラードーだって!まさか」
「いや、きみの言うとおり、
ちょっと考えられないんだがね。
きみが捕まらなかったものだから、ルクレージのところへ話をしに行こうと思ったところなんだ。
ワインのことにかけては、ルクレージは第一人者だからね。
彼なら何か言うだろうと思ってね」
「ルクレージだって?
あいつなんかに利き酒ができてたまるものか」
「でも、ワインにかけてはきみにひけをとらないって話だよ」
「ほ-う、そうかね。よし、行こうじやないか」
「どこへ行こうって言うのかね」
「きみのところの地下室さ。
そのワインを飲みに行くんだよ」
「いや、きみ、そりゃだめだよ。あまり気分がすぐれないようじゃないか。
それに、地下室は寒くてじめじめしているからね」
「なに、構うもんか。
さあ、行こう。
ぼくのことなら、心配はいらない。
寒さなんか平気だよ。
アモンティラードーとはねえ!
きみはだれかに担がれているんだよ。
それに、ルクレージか。
ルクレージときた日には、ワインのことなんか、まるでわかっちゃいないんだから」
フォーチュナートーは話をしながら私の腕を取った。彼は私の偉大な石の宮殿へと私をせき立てたので、私は逆らわずに、彼のなすがままにさせておいた。この宮殿は私の家族、つまり、モントレゾール家が何百年も昔から住んでいたところである。
家にはだれもいなかった。
私は召使いたちに、翌朝まではもどらないから留守を頼むと言いつけておいたのだ。
こう言っておけば、彼らは私がいなくなるとすぐにみんないなくなることを、私は知っていたのである。
私は召使いたちの部屋の壁から、2本のあかあかと燃えていたたいまつを取りはずした。
1本をフォーチュナートーに手渡し、広々とした入口の方へ彼を案内した。
そこからは、石の階段が下のほうへ続いていて、やみの中へ消えているのがうかがわれた。
私はあとに続く彼に注意をうながしながら、彼の前方を、地下深く私の宮殿の古い塀のはるか下のほうへと降りていった。
私たちはついに階段の一番下までたどりつくと、ほんのしばらくの間そこに立ち止まった。
床の土は冷たくて硬かった。
私たちはモントレゾール一族の墓場にさしかかった。
私たちはこの冷たくて暗い、空気が動かない地下にも、最上のワインを貯蔵していたのである。
フォーチュナートーは、もうすでにワインが入っていたので、足元がよろよろしていた。
彼は回りに立ちこめる闇を通し、何かを見ようとして、おずおずと辺りを見回していた。
ここまで来ると、私たちの明るいたいまつもいかにも弱々しく思えた。
しかし、私たちの目はすぐに暗がりに慣れた。
壁に沿って骸骨が山と積まれているのが見えた。
壁の石は、じめじめとして冷たかった。
骸骨の間に何列にも並べられたボトルの中から、私はごく上等のワインの入ったボトルを1本選び出した。
ボトルを開けるものがなかったので、私はボトルを壁にたたきつけて、飲み口を割った。
そして、ボトルをフォーチュナートーに差し出した。
 
Reproduced by the courtesy of the Voice of America
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