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Episode-13 Maverick


Episode-13 Maverick
WORDS AND THEIR STORIES
ことばの由来-特別英語番組。
どんなことばでも、それにまつわる話がある。
きょうのことばは「迷い牛、異端者」である。
どこから出たか。
何という意味だろうか。
どのようにしてアメリカ英語に入って来たのだろうか。
128年前、テキサスと呼ばれる広大な南西の地域が、合衆国28番目の州となった。
テキサスは広々とした草原地帯で、土地が肥えており、食用長角牛、牧場、カウボーイなどが見られた。
1800年代の初め、サミュエル・オーガスタス・マーベリックという人が東部からテキサスへやって来た。
法律学校を出たてのマーベリック氏はそこに落ち着き、すぐれた政治家で地主となった。
彼はテキサスがメキシコから独立するために闘い、ついにはサンアントニオの市長になったのである。
年がたつにつれて、サミュエル・マーベリックのテキサスの土地は、しだいに増えて来た。
しばらくすると彼は広大な牧場の持ち主となったが、畜牛は一頭もいなかった。
彼は牧場経営者ではなかったのだ。
しかし1845年のある日、ある人がマーベリック氏に昔の借金を払いにやって来た。彼はお金を払う代わりに、牛400頭を差し出した。
マーベリック氏は受け取ったが、そうしたかったわけではなかった。
彼は、牛を、彼の土地に放し、勝手に草を食べさせ、牛のことを忘れてしまった。
時がたつにつれて、これらの牛は子牛を産み、またその子牛が成長し子を産んだ。
牛の群は何倍にも増えたのである。
そしていつか、何百頭もの牛や子牛が自由に歩き回り、近くの牧場にも出入りした。
西部の牧場主の習慣では、生まれたての子牛に焼き印を押し、所有を表すことになっていた。
牧場名を動物の体に熱い鉄ごてをあてて焼きつけたのである。
これではっきりした印、焼き印がついた。
そのため牧場主は、自分の子牛をほかのと見分けることができた。
しかしサム・マーベリックは、焼き印を自分の子牛に押すことを拒否した。
なぜそんな必要があるのだ。
もしほかのすべての牧場主が彼らの牛に焼き印を押したのなら、焼き印のないものは、彼、サム・マーベリックのものである。
このようにして"maverick"ということばは、アメリカ英語に入って来た。
意味は焼き印のない子牛であった。
しかし、時とともに"maverick"ということばは、より広い意味を持つようになった。
このことばは、あまりにも独立心が強く、他人と協調しない人を意味するようになった。
だから、サム・マーベリックは名前だけではなく"maverick"(異端者)となったのである。ほかの牧場主と同じように牛に焼き印を押すことを拒否したためである。
サムの孫もまた異端者であった。
モーリー・マーベリックのことであるが、彼は1935年にワシントンで下院議員となった。
若いマーベリックは民主党員であったが、彼は独立心が強かった。
ワシントンにいる間、彼の党に従うことを拒否し、進歩派の民主党員を率いた。
彼らも同じく党のリーダーと意見を異にしていたのである。
このグループはマーベリック派と呼ばれたが、民主党色にそまることを拒否したためである。
さて、以上の話が、一人の男の名前がアメリカ英語の一部となったゆえんである。この話は100年前、カウボーイがマーベリックの迷い牛を見つけて"maverick"と呼んだことから始まった。
 
Reproduced by the courtesy of the Voice of America
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