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Episode-12 Buff


Episode-12 Buff
WORDS AND THEIR STORIES
ことばの由来-特別英語番組。
どのことばにも、それにまつわる話がある。
どこから出たのか。
何という意味だろうか。
どのようにしてアメリカ英語に入って来たのだろうか。
きょうのことばは「熱中する人」である。
“buff”ということばには、いくつかの意味がある。
色でいうなら淡黄色である。
また、柔らかい布という意味でもあり、表面をみがくのに使う。つまり動詞用法で「みがく」となる。
けれどもこのような意味は古く、その由来は忘れられている。
“buff”の意味で現在興味深いのは、人を表現するもので、その人が強烈な欲求を持っている場合である。つまり、何かに熱中している人ということである。
例えば、テニス好きの人はテニス・バフ。
ジャズ好きの人はジャズ・バフという具合である。
この意味はアメリカ特有のものである。
そして、この意味が使われるようになったのは150年前、ニューヨーク市においてである。
当時のニューヨークは発展途上にあった。
石と鉄鋼でできた摩天楼はまだなく、建物は木やレンガで作られていた。
古い建物が多く、よく火事が起きた。
それに当時は十分に組織された消防署はまだなかったのである。
火事の警鐘が鳴ると、火事の近くにいる人は、していることは打ち切って、消火に駆けつけたものである。
それから有志の消防隊が組織された。
厳寒の折には、多くの若い消防士は、防水防寒用に野牛の皮でできたオーバーを着た。
また火事の鐘が鳴ると、ほかの町の人まで消火の手伝いに駆けつけたものだ。
この人たちも野牛のオーバーを着ていた。
そのうちに、自分の仕事を中断して消火に駆けつけて来る人のことをファイヤー・バフと呼ぶようになった。着ていた野牛のオーバーのためである。
ファイヤー・バフはまもなく頼もしい存在となり、広く人々にたたえられた。
しかし、時とともに変化が訪れる。
ニューヨーク市消防署が組織され、新しい器具も発明された。
消防士は、消火して給料をもらう職業人になった。
しかし今日でも、火事きちがいはどこからともなくやって来て、不思議にも火事現場に現れる。
時には、消防士の消火のじゃまになる。
それほど昔ではないが、次の見出しがニューヨークの一流紙に載った。「火事きちがい、火事から締め出される」
この見出しの下の記事はニューヨークの消防署署長の出した命令についてであった。
署長の弁はこうである。「今後、火事場に行けるのは消防士だけである」
署長は怒っていた。
新聞記者に語ったところによると、配下の消防士が、火事場に近づくのに非常に苦労をしているのは、手助けをするはずのファイヤー・バフが、実際にはじゃまをしているためであるということである。
だから、アメリカの西部の草原の野牛に感謝したいのは、"buff"ということばを与えてくれたからである。このことばは、最初火事場に行きたがる人を表すのに使われた。
今月では、"buff"ということばは広い意味を帯び、あるもの、あること、あるグループに熱狂的になったり、好きでたまらないといった人すべてを表すようになった。
 
Reproduced by the courtesy of the Voice of America
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