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The Return of Sherlock Holmes シャーロック・ホームズの帰還

The Adventure Of The Three Students 三人の学生 5

Sir Arthur Conan Doyle アーサー・コナン・ドイル
AOZORA BUNKO 青空文庫
「でしたら手短にお話を。この棟に住む三人の人となりですが、
一番下にいるのがギルクリスト、彼は文武両道、大学ではラグビー部とクリケット部に入っており、障害物走や走り幅跳びでは対抗戦の代表です。
健やかで逞しく、父親が悪名高いジェイベス・ギルクリスト勳士――競馬で身を持ち崩した人物で、
この生徒はひどい困窮に追い込まれましたが、熱心で勤勉。
将来有望です。
 三階に住むのがダウラト・ラース、例のインド人です。
物静かで不思議なやつ、といってもインド人はみなそうですが。
学業は結構ですが、ギリシア古典は苦手科目で。
真面目で几帳面なんです。
 最上階を使うのがマイルズ・マクラレン。
やると決めればすごいやつで――大学でもその賢さは上の上、ただ厚顔無恥の放蕩者で。
初年度にトランプ騒ぎで放校になりかけました。
今学期もずっと怠けっぱなしで、試験の来るのをびくびくしてるに違いありません。」
「ではその男こそ怪しいと?」
「まだそこまでは何とも。
ただ三人のうちでは、一番ありそうではあります。」
「まさしく。さてソウムズさん、あなたの使用人バニスタとの面会を。」
 その男は小柄で、白い顔には髭がなく、白髪交じりで歳は五〇前後、
穏やかな日課が今回唐突に乱されて、いまだ心を痛めているといったふうであった。
そのふっくらした顔は不安で引きつっており、指の震えも収まらない。
「今あの厄介事を調べておるのだ、バニスタ。」とその主人が声をかける。
「御意に。」
 ホームズが口を開く。「僕の理解では、あなたが扉に鍵を挿したままにしたとのことですが。」
「そうでございます。」
「大層な偶然ではありませんか。こうして問題が室内にある日に限って、しでかしてしまうなんて。」
「たいへん間の悪いことではありますが、
しばしばこうしたことを別の折にもやらかしまして。」
「部屋に入ったのはいつです?」
「四時半頃で。ソウムズさまのお茶の時間ですので。」
「なかにいたのはいかほど。」
「旦那さまがご不在と見て、すぐさま退室を。」
「机に試験問題があるのはわかった?」
「いえ――まったく。」
「どうして扉へ鍵を挿したままに?」
「手に茶盆がございまして。
あとで鍵をと戻るつもりでございましたが、うっかり。」
「表扉にばね錠は?」
「ございません。」
「ではずっと開いたまま。」
「そうでございます。」
「部屋に人がいても出られる。」
「そうでございます。」
「戻ってきたソウムズさんに呼ばれると、君はひどくうろたえたとか。」
「はい。このような事件は長年おりまして一度もなかったことでして、
気が遠くなりまして。」
「そうだろうとも。具合が悪くなり出したときはどこに?」
「どこ、ですか? その、ここ、部屋の扉のそばに。」
「それは妙だ。向こうの隅の椅子に君は座った。
どうして途中の椅子を通り過ぎた?」
「わかりません。どこに座ってもよろしいのでは。」
「実際そんなこと本人もよくわからないと思いますよ、ホームズ先生。
ひどく気分が悪そうで――あんまりでしたから。」
「主人が出たあともここに残った?」
「数分ばかり。
そのあと表扉に鍵をかけて自室へ。」
「怪しいのは誰です?」
 
Copyright (C) Sir Arthur Conan Doyle, Yu Okubo
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