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The Life and Writings of Edgar Allan Poe Part One(2) エドガー・アラン・ポオの生涯と作品
The Life and Writings of Edgar Allan Poe Part One エドガー・アラン・ポオの生涯と作品
EDGAR ALLAN POE: STORYTELLER. エドガー・アラン・ポー物語シリーズ
学年末になると、アラン氏はポオを連れもどすために大学へやってきました。
楽しかったポオの生活も、これで終わりを告げることになるのです。
彼にとって、事態はいよいよ面倒なことになってきました。
というのは、アラン氏がそれまでのポオの行状を知ったからです。
「年のいかないポオには、金のありがたみがわからなかったんだ」と、怒りで顔を赤らめながら怒鳴っているアラン氏の顔が目に浮かびます。
アラン氏はポオの借金の一部を払いましたが、ポオがトランプで負けた金までは払いませんでした。
ですから、ポオが大学を去った時は、たくさんの借金が残っていました。そして、その後ポオは死ぬまで借金が続き、だれからも借金していない日は、まずなかったと言っていいでしょう。
彼はポオに、大学で勉学を続けるための費用を今後はいっさい出さない、と言い渡しました。
アラン氏はポオに自分の商売を手伝わせたかったのです。
しかし、言うまでもなく、ポオは商売にはまるで向いていない人間でした。
1827年3月のある日のこと、ポオは口論の末、家を飛び出してしまいました。
その後、彼は1、2度アラン氏の家の門をくぐったことがありました。一度はアラン夫人が亡くなった時です。アラン夫人といえば、ポオをたいへんかわいがってくれた人です。ポオがたいへん慕っていた人でもあります。
ともあれ、その間のほとんどの時期は、彼は自活していましたし、
ひとりで社会に立ち向かったポオにとって、人生の最大の目的は、アラン氏や世間に対して、自分が価値ある人間であることを身をもって示すことでした。
彼は世間から認められ、世間の話題になることを願ったのです。
彼は、だれからも認められないでいるくらいなら、たとえ自分の悪口やありもしないことでもいいから、世間のうわさの種になりたいと思っていたようです。
その後数年間のポオの消息は、ほとんどわかっていません。
しかし、一日一日、または一月一月、ポオが何をしていたかということが、こと細かにわかったとしても、それはさほど重要なことではないのです。
彼が創作を続けていたことと、彼が貧しい生活をしていたことはわかっているのです。
ポオが18歳の時、友人が青年ポオの詩のいくつかをまとめて、たいへん小さな、薄っぺらい本を作ったことがありました。
ほとんど売れませんでしたし、そういう本ができたことに気づいた人さえも、ほとんどいませんでした。
それから2年後には、これらの詩に新作の詩を加えたものが別の本になりましたが、これもやはりたいへん小さな本でした。
これらの詩を好ましく思った人はほとんどいませんでしたが、好ましくないと書いた人でも、これらの詩を認めたことになったのです。
つまり、ポオはもう詩人として認められるようになったというわけです。
彼はまた、アメリカの職業的文士の第1号になることになったのです。つまり、書き物をするだけで生計を立てようとする、アメリカの作家の第1号になったわけです。
今日では、有能な作家は、書き物をするだけで生計が得られるよう、十分な報酬を受けています。
しかし、ポオの時代には考えられないことだったのです。
作家は他の仕事をしなくてはなりませんでした。それは、毎日ほんのわずかな時間働くだけで生計を得て、書き物をする時間が生み出せるような仕事です。
ポオはそのような仕事をしたいと思っていました。そして、一度は、そういう仕事にありつけたと自分でも思ったことがあったのです。
しかし、その仕事のことで、重要な人と話をすることになっていたその日に、彼は深酒をしてしまったのです。
彼は、またもや、してはいけないと分かっていながら、ついつい悪いことをしてしまったのです。
彼自身にも、理由を説明することはできなかったでしょう。
だから、ポオはどうしても書き物で生計を得る必要があったのです。
ところが、だれひとり彼の作品に対して、それ相応の報酬を支払ってくれる人はいなかったのです。
その結果、収支相償うことはめったになく、生涯のほとんどの時期を貧困の中に過ごしました。
お送りしたのは、アメリカの作家、エドガー・アラン・ポオの生涯と作品についての、2回にわたるお話のうちの1回目でした。
お話は、ワシントンD.C. のアメリカン・ユニバーシティのF・カウルズ・ストリックランド教授でした。
では、次回は、エドガー・アラン・ポオの作品について、2回目のお話をお送りします。どうかお聞き逃しなく。
Reproduced by the courtesy of the Voice of America