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LITTLE WOMEN 若草物語 14-2
Chapter Fourteen Secrets 秘密 2
Alcott, Louisa May オルコット ルイーザ・メイ
AOZORA BUNKO 青空文庫
お金たくさん持って、よっぱらったり、ばくちをしたり、しまいに、家出しておとうさんの名をかたって、なにか偽造までして、こわいわ。」
「ぼくも、そんなことしかねないと思っているんですね? どうもありがとう。」
「とんでもない。ただあたし、お金はおそろしい誘惑をするって聞いてるから、あなたが貧乏だったら、心配しないでもいいと思うことがあるわ。だって、あなた、ときどきふきげんだったり、強情だったりするから、いったんまちがったほうへむいたら、ひきとめるのがむずかしいと思うわ。」
ローリイは、しばらくだまりこんで歩いていました。ジョウは、すこしいいすぎたかしらんと思いましたが、
やがて、ローリイは、「あなたは家へ帰るまで説教するつもり?」
しないなら、いっしょに歩いて、とてもおもしろいこと聞かせてあげる。」
これは秘密ですよ。ぼくがいったら、あなたのもいわなければだめですよ。」
「あたし秘密なんかないわよ。」と、ジョウはいいましたが、じぶんにも秘密があることを思って、きゅうに口をつぐみました。
「あるでしょう。かくしたってだめ、さっさと白状なさい。いわなければ、ぼくもいわない。」
「おもしろいとも! あなたのよく知っている人のこと。あなたが知っていなければならない秘密だから、教えてあげたくてうずうずしているんです。さあ、あなたからですよ。」
「じゃいうわ。あたしね、小説を二つ、新聞社の人のところへおいて来たの。そして、来週返事があるの。」と、相手の耳にささやきました。
ローリイは、「アメリカにその名も高きマーチ女史ばんざい!」と、さけんで帽子を高くなげ、それをうけとめました。もう郊外を歩いていたので、それは二羽のがちょうと、四ひきのねこと、五羽のにわとりと、六人のアイルランド人の子供をよろこばせました。
「返事なんか来ないわ。このこと、たれにも失望させたくなかったから、いわなかったの。」
「なあに、だいじょうぶ、あなたの書くもの、シェークスピアの書いたものくらい、ねうちがありますよ。
ジョウは、そういわれると、うれしく思いました。友だちの賞讃はいいものです。
「いってしまうと、こまることになるかもしれないんですが、いわないと気がらくになれないし、
あのね。メグの片っぽうの手ぶくろのありかを知っているんです。」
「今のところ、それでじゅうぶんだよ、どこにあるかということを教えたら。」
ローリイは、ジョウの耳に三つの言葉をささやきましたが、
その言葉でジョウは、おどろきと不愉快な表情をしてつっ立ち、ローリイの顔を見つけてから歩き出しました。「どうして知ってるの?」
Copyright (C) Louisa May Alcott, Masaru Mizutani