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LITTLE WOMEN 若草物語 17-2

Chapter Seventeen Little Faithful 小さな真心 2

Alcott, Louisa May オルコット ルイーザ・メイ
AOZORA BUNKO 青空文庫
「ハンメルさんのあかちゃん、おばさんの帰って来ないうちに、あたしに抱かれて死んでしまったの。」
「まあ、かわいそうに、どんなにこわかったでしょうね。あたしがいけばよかった。」 ジョウは、後悔の色を顔にうかべ、おかあさんの大きなイスにかけてベスを抱きました。
「こわくはなかったけど、悲しかったわ。
ロッチェンが医者をよびにいったというので、あたしがあかちゃんを抱いて、ロッチェンを休ませてあげてたの。
そうしたら、あかちゃんが、きゅうに泣き声をたててぶるぶるふるえて動かなくなったの。
足をあたためたり、ミルクを飲ませたりしたんですがもうだめ、ちっとも動かないの。」
「泣かないでね、それから、どうしたの?」
「お医者さまが来るまで、あたし抱いていたの。
お医者さまに死んでしまったとおっしゃって、ヘンリッヒとミンナののどを見て、「しょうこう熱」ですね、
おくさん、もっと早くわたしをよびに来なければだめですと、むずかしい顔をしておっしゃったわ。
すると、ハンメルのおばさんが、貧乏だからじぶんの手でなおそうとしたんです。どうかほかの子を助けて下さいといったの。
そして、わたしにね。早く家へ帰ってベラドンナを飲みなさい。そうでないと、あなたもかかるよとおっしゃったの。」
「ああ、ベス、あなたがかかったら、あたしはどうしたって、じぶんを許せないわ!」
ハンナをよんで来るわ。ハンナは病気のことなんでも知っているから。」
「エミイを来させないでね、エミイはまだかからないから、うつると大へんだわ。
あなたとメグねえさんは、もううつらないでしょうか?」
「だいじょうぶと思うわ。うつったってかまわないわ。
あなたばかりいかせて、くだらないもの書いていて、じぶん勝手のむくいだわ。」ジョウは、そうつぶやいて、ハンナのところへ相談にいきました。
ハンナはよく知っていて、手あてさえよければ死ぬものではないといったので、ジョウはほっとし、今度は、二人でメグをよびにいきました。
 ハンナは、ベスの容態を見たり、いろいろ尋ねてからいいました。「では、バンクス先生に診察していただいて手当をするんです。
エミイさんはうつるといけないからしばらくマーチおばさんのところであずかっていただきましょう。それから、どなたか一人のこってベスさんのお相手になってあげて下さいませ。」
エミイは、どうしてもいかないといい、いくくらいなら、しょうこう熱にかかったほうがいいと、だだをこねはじめました。
なだめても、すかしても聞きません。
ローリイはいろいろとエミイの心をひくようなことを、まくしたてました。
「ぼくがまい日顔を出して、ベスの容態を知らせたり、遊びにつれ出したりしてあげる。
あのばあさんは、ぼくが好きなんだ。だから、できるだけうまくやるよ。
芝居にもつれていってあげる。」
 とうとうエミイは承知しました。
 
Copyright (C) Louisa May Alcott, Masaru Mizutani
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