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The Life and Writings of Edgar Allan Poe Part Two(2) エドガー・アラン・ポオの生涯と作品


The Life and Writings of Edgar Allan Poe Part Two エドガー・アラン・ポオの生涯と作品
EDGAR ALLAN POE: STORYTELLER. エドガー・アラン・ポー物語シリーズ
ポオ一家はニューヨーク市に引っ越しました。
しかし、ポオは仕事を見つけることはできませんでした。
彼らは幾つか余分に部屋のある大きな家を見つけました。
クレム夫人は、何がしかのお金をとって、この余分の部星に食事つきの下宿人を幾人か泊めました。
何か月もの間、こうして得た収入以外に、彼らにはお金というものはいっさいありませんでした。
ついにポオはニューヨーク市を離れてフィラデルフィアへ行き、『バートン誌』の編集者になりました。
その後、彼は『グラハム誌』の編集者となりました。
それから再びニューヨーク市で『ブロードウェー・ジャーナル』の編集者になりました。
彼の編集者としての仕事や批評家としての仕事のことを話すと、話は長くなります。
彼は有能な編集者でした。
彼が編集に携わった雑誌は、どれもよくなり、より多くの読者を獲得しました。
しかし、どの雑誌も2年以上担当することはありませんでした。
必ずしも飲酒癖が理由だったとは言えません。当時は長期間一滴も飲んでいなかったからです。
あることについて、彼と雑誌の所有者との間に大きな見解の相違があったのです。大口論の結果、ポオは雑誌の編集をやめました。
ポオは、編集者としての仕事について、人から指図されるのがいやだったのです。
ポオは『グラハム誌』の編集に携わっていた年は、十分な給料をもらっていましたので、家族は必ずしも貧乏ではありませんでした。
しかし、それはわずかに1年だけのことでした。
ポオはまた酒を始めたのです。
ポオは、バージニアの寿命があといくらもないことを知っていましたし、ポオ自身も何か正体のわからない病気にかかっていました。
1846年12月には、ポオー家はニューヨーク市であまりにも貧しい生活を送っていましたので、ポオの理解者であった裕福な女性たちの一団が市内にいる自分たちの友だちをたずねて、ポオの一家に贈るためのお金や衣類や食物を寄付してほしいと頼んで回ったほどでした。
このように、ポオが活躍したのは、主として批評家としてでした。
ところが、今日彼がその名を知られているのは、小説と一部の詩とりわけ『大がらす』の作家としてなのです。
これらの作品は、彼の時代に最も評判のよかったものです。
彼の時代というのは、ヨーロッパではロマン主義の時代だったのです。
当時はまだ、アメリカ人は、新しい概念の根源はヨーロッパにあると考えていたのです。
ロマン主義の最も重要な概念の一つは、現実からの逃避ということですが、詩や小説は人々を現実の生活から連れ出し、夢の世界へ誘うことです。人々はそこでは過去にも未来にも起こりえない事柄について、それらを感じたり、見たり、聞いたりできたのです。
ポオはこれらの小説を巧みな技法で書いたので、読者には物語の結末にきて日常生活の冷たい現実に突き落とされるまでの少なくとも数分の間は、現実にありそうなことのように思えたのです。
ポオ自身も自分が恐ろしい物語を書くのは、読者がそういった物語を読みたがっているからだ、と言っています。
彼は、そういう小説を書けば、名声が上がるということを知っていたから書いたのです。
そして、これらの小説のおかげで有名になったのは事実ですが、ただ有名になっただけで、それ以外には、彼にとってプラスになるようなことはほとんどありませんでした。
ポオは晩年、ニューヨーク市の編集者や批評家の一団と論戦を交えました。
1847年に入ったころには、ポオは戦いに破れたことを自覚していました。
この論戦が終わってみると、ポオには敵が増えていて、味方はなくなっていました。
その年の1月には、バージニアが他界しました。
この時以来、ポオにとってはすべてが不運の連続でした。
彼の心は破滅に追い込まれました。
彼は1年以上もかかって、ニューヨーク市から、リッチモンドへ、フィラデルフィアへと、裕福な女性の友だちを見つけて結婚しようとしてさまよい歩きました。
彼は執筆をやめはしませんでしたし、幾つかのおもしろい作品を発表しています。
しかし、それまでのような偉大な仕事はもうできなくなっていました。
1849年の夏、ポオは文学についての講演をするために、リッチモンドにもどりました。
思えば、リッチモンドはポオが少年時代を過ごした土地でした。
今や、彼は故郷に錦を飾ることになったのです。
彼が喜んだことは言うまでもありません。
しかし、彼は病身でした。
数週間後には、ボルティモアで路上に倒れているところを発見されました。それから数日たって、彼は息を引き取ったのでした。
彼が何のためにボルティモアへ来ていたのかということや、死因については何もわかっていません。
彼はまだ41歳になっていませんでした。
埋葬に立ち会った友人は、ほとんどいませんでした。
そして、彼の死を悼む人もあまりいなかったのです。
ポオは苦難に満ちた生涯を送りました。ほとんど一生涯、彼の抱いていた夢はただの夢に終わってしまったのです。
彼は現世の苦労を忘れるために、酒を飲んだのです。
彼は詩や繊細な小説の中で、夢の世界へ逃避したのです。
ポオ自身、自分は夢想家だと言っています。
彼は言いました・・・眠りに入る直前の半醒半眠のあのひとときを考えてみるがいい、
奇妙な夢を見るが、眠ってしまえばみんな忘れてしまうのだ、と。
ポオは、自分は眠りの直前まで行ったところで、また現実の世界へもどり、半醒半眠の状態で見た夢を思い出すことができるのだ、と公言していました。
彼の話によれば、そういった夢が彼の幾つかの作品の素材となっているのです。
本人が言うのですから本当でしょう。
けれども、このほかにも、彼の詩や小説には彼が全く覚めている状態で見た夢も、たくさん入っているのです。
お送りしたのは、アメリカの作家、エドガー・アラン・ポオの生涯と作品についての、2回にわたるお話のうちの2回目でした。
お話は、ワシントンD.C.のアメリカン・ユニバーシティのF・カウルズ・ストリックランド教授でした。
では、次回、「やさしい英語」で朗読したエドガー・アラン・ポオの短編の一つを、どうかお聞き逃しなく。
 
Reproduced by the courtesy of the Voice of America
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