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Episode 11 Balser and the Fire Bear Part One(1)


Episode 11 Balser and the Fire Bear Part One. (Charles Major) パルサーと火吹きぐま(チャールズ・メージャー)
AMERICAN SHORT STORIES
特別英語によるアメリカの短編小説の時間です.
きょうの物語も主人公はバルサ一・ブレントという少年で,彼はハンターで射撃の名手です.
彼はまだ小さいうちから,野生の動物をハントすることを習い覚えたのです.
この物語の題名は『パルサーと火吹きぐま』です.
原作者はチャールズ・メージャーです.
語り手はジャック・モイルズです.
ある晩,パルサーの両親はフォックス夫妻と村へ出かけました.
フォックス家の子どもたち-つまり,ライニーと彼女の弟リンピーは,パルサーのところで一緒に留守番をしていました.
子どもたちだけになると,ライニーは赤ん坊たちを寝かせる準備をしました.
赤ん坊たちがまもなく眠りにつくと,
ほかの子どもたちは暖炉を囲んで座り,ゲームをしたり,物語を話し合ったりしました.
家の外では,風がひゅーひゅーと音を立てて木々を吹き抜け,降ってくる雪を辺り一面にまき散らせていました.
寒い夜でしたが,大きな暖炉のおかげで,子どもたちは暖を取ることができました.
2つ3つゲームをしたところで,パルサーはナッツの入った手おけを持ってきました.
子どもたちは我先に素早くナッツを割ると,ナッツの甘い実を口いっぱいにほおばりました.
ライニーが,聖書にあるダニエルとライオンの話を始めました.
すると,ちょうどその時,だれかが助けを求めて呼んでいる声が聞こえてきました.
その叫び声は,ちょうど煙突を伝って聞こえてくるようでした.
「ほら,ちょっと聞いてごらん」
手を上げて黙る合図をしながら,パルサーはささやきました.
すると,またもや叫び声が聞こえてくるのです.
子どもたちは跳び上がって,パルサーのほうへすり寄ってきました.
「助けて-っ!
助けて-っ!」
外から声がしました.
「だれかが助けを求めてるんだ」パルサーはひそひそ声で言いました.
「行かなくちゃいけない」
「だめよ!」
ライニーは声を張り上げました.
「およしなさいったら!
インディアンが,私たちをおびき出して,殺そうとしてるのかもしれないわよ」
ライニーはみんなを怖がらせました.
パルサーも怖かったのです.
でも,自分はどうしても行かなくてはならないということはわかっていたのです.
彼は,みんなから自分が恐れているなどと思われたくはなかったのです.
彼は自分の銃を握りしめ,暖炉の火からたいまつを取って,凍えるようなあらしの中へ飛び出しました.
「だれだ-っ?」
パルサーは,頭上高くたいまつをかざして怒鳴りました.
「助けて-っ!
助けて-っ!」
と叫び声がしました.
パルサーは,声のするほうへ駆け出していきました.
だれかが自分のほうへ向かってやってくるのが,パルサーの目に入りました.それは男の人影です.
パルサーは,はあはあとあえぎながら言いました.
「一体,だれだ-っ!」
パルサーは銃を構えていました.
「ぼくだよ,パルサー,わからないのかい.
ポーリー・バロット…
ポーリーだよ…」
「なーんだ,ポールか.一体どうしたと言うんだい」
「火吹きぐまっ‥.火吹きぐまなんだよ!やつに追っかけられたんだよ.
ほら,あそこ‥.
向こうへ行くじゃないか.
きみには見えないのかい?
そら,川のほうへ下りていくだろう.
氷の張った川を渡っていくじやないか.
ほら,ほら,あそこだよ!」
パルサーは目をすえて見ましたが,初めのうちは何も見えませんでした.
ところが,やがて,大きな黒い生き物が見えてきました.
その生き物は,やみの中で赤い光を放っているように見えました.
とても恐ろしい光景でした.
パルサーは向きを変えると,一目散に家へもどりました.
ポールも彼のあとに続きました.
家の中までくると,ふとパルサーは,あんなに走って逃げるなんてばかなことをしたものだ,と思うようになりました.
彼はポーリーのほうを向いて言いました.「外へ出て,もう一度あの火吹きぐまを見ようよ
しかし,ポーリーやほかの子どもたちはだめだと言うのです.
こんなあらしの中を,おなかをすかしたくまを捜しに行くなんてとんでもないことだ,というのです.
パルサーは,みんなが外へ出ることをどう思っているかということがわかって,たいへんうれしく思いました.彼は銃をしまいました.
「ポール,あの火吹きぐまを一番初めに見かけたのは,どの辺りだったの?」
とパルサーはたずねました.
「川に沿って少し行ったところさ」ポーリーは言いました.
「ぼくは全速力で走ったんだけど,
あの火吹きぐまのやつめ,-歩一歩ぼくのすぐあとを追ってくるんだよ-うなりながら,まるで大きなたき火のように炎を上げて燃えながら,煙を出して追ってくるんだよ」
「いや,そんなばかなことはないだろう」パルサーは言いました.
「ぼくが見た時は,燃えちゃいなかったぜ」
「もちろん,燃えてなかったよ」ポーリーは言いました.
「もう燃えつきていたんだよ.
きみはくまがまるで火山のように,いつまでもあかあかと燃えてることができる,とでも思ってるのかい」
「本当に火のように燃えてたの?」
とライニー・フォックスがたずねました.
「もちろん」ポーリーは言いました.
「ぼくがどんなに熱いか,見たってわかるじゃないか.
こんな寒い夜に,こんなに汗をかくはずがないじゃないか」
みんながポーリーの言うことを真に受け始めました.
彼はきっと火吹きぐまを見たにちがいない.
 
Reproduced by the courtesy of the Voice of America
主な掲載作品
Sherlock Holmes Collection
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Sherlock Holmes Collection