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Episode-11 Balser and the Fire Bear- Part Two(1)
Episode-11 Balser and the Fire Bear- Part Two (Charles Major) パルサーと火吹きぐま(チャールズ・メージャー)
AMERICAN SHORT STORIES
きょうは,この前の『パルサーと火吹きぐま』の続きをお送りします.
ついに,年若いパルサーが火吹きぐまを捜しに出かける時がやってきました.
パルサーは,もうこの危険な動物といつ出会っても平気だと思うようになりました.
彼は友人のポールを連れていきました.2人は,まずくまの足跡を捜しにかかります.
2人の少年は,初めてこの恐ろしい生き物が暗夜に光を放っているのを見かけたブルー川のほうへ歩いていきました.
くまは深い雪の中にくっきりと足跡を残してくれていますので,跡をたどるのは簡単です.
川に沿って少し行ったところで,パルサーとポールは,くまが氷の上を渡った個所を見つけることができました.
2人はどこまでもその足跡をたどっていき,とうとうブラック・ガリー(小峡谷)というところまでやってきました.
そこは,奇妙な形をした木々や深いほら穴が幾つかあって,とても恐ろしいところです.
彼らは,もう火吹きぐまの住みかを見つけていたのです-ブラック・ガリーがそれです.
「うん,そりゃ,すぐのほうがいいけどね」ポールは言いました.
「覚えてるだろう,あのくまのやつを見てから3か月以上生きていた人は,だれひとりいないんだぜ」
ポールとパルサーが家に着いたのは,もう日が暮れてからだいぶたってからのことです.
彼らは斧(おの)を研ぎすまし,新しい弾丸を作りました.
やがて,くまを見た日から8日目に,少年たちはブラック・ガリーへ向かって出発しました.
少年たちはめいめい馬に乗って,3日分の食料を運びました.
一同がブラック・ガリーに近づいたころ,雨が降っていました.
太陽は沈んでしまっていて,雨が岩の上で凍っていました.
少年たちははら穴の中に馬をつなぐと,さてどうしたものだろうと相談を始めました.その晩は家へもどったほうがいいか,それとも朝までそこにいるか,といった相談です.
ポールは,どのくまだって雨の夜には自分のほら穴にいるはずだ,と考えました.
パルサーが同意しましたので,みんなは家へもどろうとして立ち上がりました.
ところが,ちょうどその時,彼らの耳に恐ろしい音が聞こえました.
その昔は,ほら穴の入口のほうから聞こえてくるようでした.
どこにいてもあの音はわかるんだ.さあ,パルサー,帰ろうよ」
もしあのくまに逃げられたら,二度と会えないかもしれないじゃないか.
少年たちは銃を取ってほら穴の外へ駆け出していきました.
いくらも行かないうちに,あのくまがやみの中で赤い光のように輝いている姿が,少年たちの目に入りました.
火吹きぐまは川に沿ってブラック・ガリーのほうへ駆けてくるではありませんか.
彼らの叫び声が耳に入ると,くまは立ち止まりました.
火吹きぐまは,辺り一面をあかあかと照らしながら立っていました.
くままであと20メートルのところで,パルサーは立ち止まりました.
「きみたちは,ぼくが撃ってから撃つんだ.しかし,合図をするまでは撃っちゃいけないぞ.
ポール,ぼくが銃でよくねらえるように,たいまつを高くかかげてくれ」
ポールもリンピーも撃ちましたが,どちらも全くの外れでした.
パルサーが倒れると,くまは彼の上に立ちはだかって,パルサーの首がどの辺りかと捜し始めたのです.
パルサーは倒れる時に,地面の上にあった木の棒切れに手が触れました.
彼はその棒をつかんで,くまが彼の首をかもうとしてすり寄ってきた時を見計らって,その棒を立てました.
棒が口の中にささったものですから,くまは口を開けることも閉じることもできません.
そこへ,リンピー・フォックスが斧を持ってやってきました.
Reproduced by the courtesy of the Voice of America