※本文をクリック(タップ)するとその文章の音声を聴くことができます。
右上スイッチを「連続」にすると、その部分から終わりまで続けて聴くことができます。
※ "PlayBackRate" で再生速度を調節できます。
Episode-19 Eat Crow
Episode-19 Eat Crow
WORDS AND THEIR STORIES
そしてどのようにしてアメリカ英語に入って来たのだろうか。
ほかのどんな鳥よりも非難されたり、ほめられたりされている。
農夫にとっては、カラスは腹をすかしたどろぼうである。空から舞い降りて、トウモロコシの芽を食べてしまうのだ。
しかし、ほとんどの人はカラスを大きな、うるさい、わずらわしい鳥と思っている。
それで理解しやすいのは、なぜカラスがアメリカ英語の一部となったかということである。
自分の事や、自分の行いを大声で話す人は「自慢している」という。
しかしアメリカには、カラスに関する違った言い伝えがある。
それは次のとおりである。人があることを声高に自慢していったあと、自分が間違っていたことを認めなければならない時に、「屈辱を忍んでいる」といわれる。
だれもこの言い伝えがどのようにして発生したのかは知らない。しかしそれについて、次の話がルイジアナの新聞に出たことがある。1851年のことである。ある男が経営する下宿屋の食事があまりにもひどいので、下宿人は文句をいった。
ある日彼らがあまりにうるさく文句をいうので、主人は笑っていった。「私なら何でもおいしく食べられるのだがね」
彼らは1羽の大カラスを殺し、それを料理して、おいしく見えるようにした。
しかし、秘かに彼らはそれにひりひりするこしょう、かぎたばこ、塩を足した。
彼らは、おいしそうな料理を主人の前に置き、食べるように勧めた。
主人はカラスを大きく一口ぱくついたが、それはひどい味だった。
彼は料理を押しやるといった。「ああ、カラスだって食べられるけど、おいしいなんてことはないね」
その時より、次のことがいわれている。「何かをいったあとに、自分が間違っていたと認めざるを得ない場合には、カラスを食べているといわれる」
1948年、多くのジャーナリストや世論調査家は「カラスを食べる」(屈辱を忍ぶ)はめになった。
当時、ハリー・S・トルーマン大統領は、再選を目ざして選挙運動中だった。
彼の対立候補はニューヨークのトーマス・E・デューイだった。
ほとんどのジャーナリストや世論調査家はデューイが勝つと確信していた。
選挙の最終結果が出る前に、彼はラジオで放送し、デューイが勝ったと報じた。
選挙当日の晩、トルーマン大統領は、早く寝てしまった。
翌朝、キャルテンボーン氏は驚いた。トルーマンが勝っていたと知ったのだ。
トルーマンは世論調査家やジャーナリストたちを笑った。
多くのアメリカ人は喜んだ。専門家が間違いを認めて、しぶしぶ、いわば「カラスを食べる」はめになったからである。
Reproduced by the courtesy of the Voice of America