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Episode-22 Have an Axe to Grind
Episode-22 Have an Axe to Grind
WORDS AND THEIR STORIES
人間の創造物のうち、表現、つまり言い回しほど多彩なものはない。
確かにいえるのは、胸に一物を抱いていない男、女、子どもは一人もいないということである。しかし、全く変わった表現である。
次の話が初めて出たのはペンシルバニアの新聞で、1810年にさかのぼる。ある晴れた冬の朝、よそ者がちいさな町を歩いていた。彼は手に持っていたおのを研ぐと石を探していた。
私のおのを、そのと石で研がせてくれるかい」と男はいった。
そしてと石の所へ来るといった。「きみほどいい子には、会ったことがない。
男の声はやさしく、ほめことばは少年をとても喜ばせた。
それはたいへんな仕事であり、少年はと右を何度も何度も回した。
彼は疲れて死ぬかと思うほどだったが、おのを研ぎ続けた。男がいろいろなほめことばで声援を送ったからである。
おのは鋭く研げて、日の光の中できらりと光っていた。
少年が誇らしげにそれを男に渡すと、男の態度は急変した。
その代わりに、少年にいった。もう行きな、学校に遅れるよ。
この短い話は、当時の学校の教科書に載り、全国で有名になった。
そのためにいろいろと不愉快な話がおのを研ごうとする人について生まれた。つまり、何かを得ようとしているのだが、そのことをおくびにも出さず隠そうとしている人についてである。
「胸に一物」という表現は、今でも新鮮であり、生きている。
今なお広く使われており、行動の裏に意図を隠し持っている人を表している。
これは、よく政府から何かを得ようとする人々をさして使われる。この人たちは、例えばトマト生産者である。彼らは、無報酬で政府のトマト生産関係の委員会に、参加する旨申し出ていた。
多くのこういった人たちは胸に一物持っており、この委員会を利用して、すべての人のためにトマトの供給を安定させるためではなく、トマトの価格をつり上げようとしている。
またある胸に一物屋は、公報を書くことで知られて来た。それは事実に基づかねばならないのだが、実際はそうでなく、その書き手に有利になっている。
多くのこういった報告書は、いくつかの産業の販売を助けているといわれている。
考えてみれば、我々は皆、前にもいったように、たぶん胸に一物持って、他人に自分のやり方で何かをやらせようとしているのだろう。
Reproduced by the courtesy of the Voice of America