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Episode-25 Indian Summer
Episode-25 Indian Summer
WORDS AND THEIR STORIES
人間の創造したもので、ことばほど美しいものはない。
そしてどのようにしてアメリカ英語に入って来たのだろうか。
「インディアン・サマー」ということばが、どこから出たのか、どのようにして使われ始めたのかは、だれも知らない。
1778年以前から広く知られていたことは、フランス人作家のクレヴクールが、それについて書いているため確かである。
アメリカに帰化したクレヴクールは、次のようにいった。「きびしい霜が秋の雨に続いて来る。
これは、地面が冬の雪を迎える準備になるのだ。しかし、雪の季節に入る前に、地面は再び暖かくなって、かすみのかかった暖やかな日が何日かあり、インディアン・サマーと呼ばれる」
インディアン・サマーに関する話の一つは、新大陸への最初の植民者の時代にさかのぼる。
だがインディアンは冬支度をする植民者を見て急ぐ必要はないといった。気候は再び暖かくなり、隠やかな風が吹き、空は温和でかすみがかかってくるだろう。
そして実際にそうであった。太陽の日ざしは暑く、明るく暖かいかすみが野や森を覆った。
植民者は、インディアンのいったことばを思い出し、この素晴らしい時期を「インディアン・サマー」と呼んだ。
しかしインディアンにも、この晩秋の暖かい時期に関していくつかの言い伝えがある。
そこで彼は白い玉座につき、世の中や人々の行いを見おろしていた。
ナナボジョは冬が始まると眠りにつくが、その前に大きなパイプに火をつけ、何日もタバコを吸うのであった。
パイプから上る煙が地上に流れ、美しいインディアン・サマーを作り出した。
この煙こそが地上をかすみで覆い、暖かくし、また楽しくさせるのであった。
ほかの言い伝えでは、インディアン・サマーは、北の神、ナナボジョによって起こるのではなく、南の神、シャワンダシーによるものとされている。
シャワンダシーは哀れな神であった。背の高い、美しいインディアン娘との恋に破れたからである。
この話はアメリカの詩人、ヘンリー・ワーズワース・ロングフェローの興味をひき、彼は1855年にこのシャワンダシーの話を彼の詩『ハイアワサの歌』に入れた。
シャワンダシーは太った怠け者、住いはずっと南の方、
彼が森の小鳥を送り、空を夢見る柔らかさで包み、憂うつな北国へもたらした。雪ぐつの物寂しい月に、やさしいインディアン・サマーをもたらした。
ロングフェローの後にも、インディアン・サマーについていろいろな詩や歌が書かれている。
なぜならこの暖かい時期には冬の長い雪が来る前に、人々の意気を高め、暖かくし、喜ばせるものがあるからである。
Reproduced by the courtesy of the Voice of America