※本文をクリック(タップ)するとその文章の音声を聴くことができます。
右上スイッチを「連続」にすると、その部分から終わりまで続けて聴くことができます。
※ "PlayBackRate" で再生速度を調節できます。
Episode-36 Logroll
Episode-36 Logroll
WORDS AND THEIR STORIES
ことばの由来-独特なアメリカ英語表現についての番組。
ご存知のように、すべての言語には独特な言い回し、つまりイディオムや口語表現がある。
それらが言語に独特な性質を与える。なぜなら人々はそのように、つまりイディオムを使って話すからである。
アメリカのことばは、インディアンが住んでいた、いわゆる新世界での生活から多くを得ている。
インディアンはアメリカのことばを豊かにした。新しい自然の中での生活もそうである。
自然は開拓者たちにことばを与えたが、それにはサボテンなどの砂漠の植物がもつ荒ら荒らしさや、野生の果物のもつ味わいがあった。
この不思議な土地は、多くの新しい表現の創造に手を貸した。例えば、「相互援助をする」という表現がある。
今では、政治の取り引きを説明するために使われている。
例えば、2人の議員が約束して、お互いの立法案に投票することである。
彼らは、その立法案が悪くて、原則的には反対していてもそれを行う。
取り引きをするわけだ。「きみが私の背中をかいてくれれば、きみの背中もかいてやる」
これが、評論家のいう「あれは相互援助である」ということだ。
しかし、このことばがほかのことを意味する時代もあった。
昔は、よい目的があってお互いに助け合うことをいった。
初期の植民者が最初にしなければならないことは、天気、インディアン、そして野獣から身を守ることであった。
木を切り、土地を切り開き、やっと丸太小屋をつくることができた。
まず木を切り、そして丸太にしたあと、これを家を建てる場所まで運ばなければならなかった。
明らかに、この仕事は、1人でやるには荷が重かった。
みんながやって来て、彼を手伝い、建築予定の場所まで丸太を転がすのであった。
代わりに、ほかの人が丸太を転がす必要がある時は、彼はいつでも手伝った。
しかし何年かたつと、この表現の意味が変わった。ちょうど丸太を転がすやり方が変わったようにである。
まず最初に政治に関して使われるようになったようだ。
ある人は、またこのことばを使って、多くの本の批評家、文芸評論家の態度を表した。
彼らが非難されたのは、友だちや好きな作家の本は、よくなくてもほめるからである。
つまり、友だちのために丸太を転がしたので非難されたのだ。
しかし、この表現は、もっと自由に政治で使われ始めた。相互援助が連邦、および州議会でごく当たり前になったため、
人々は次のようにいう。「相互援助は、本当に悪いことではない」
確かによい目的があってやるのならいいだろうが、何年にもわたって何度も、相互援助で怪しい取り引きが行われたり、疑問を残すような法律を生み出している。
それで多くの人は、相互援助を信頼せず、時には非難する。
最近、この不信感が、アメリカ国民が政治家を疑うようになるにつれ、増大した。
人々が感じているのは、相互援助をする人は、金も権力もある特定のグループだけを助けるということである。
庶民が不平をいわなくなるのは、もう少し何本かの丸太が自分の方に転がって来た時だろう。
Reproduced by the courtesy of the Voice of America