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Episode-35 Bite the Bullet


Episode-35 Bite the Bullet
WORDS AND THEIR STORIES
ことばの由来-独特なアメリカ英語表現についての番組。
このような表現は、白熱した政治論争でよみがえることがよくある。
今日、我々は特に白熱した戦いをかかえている。インフレである。
だれにも、インフレの解決策はないようである。みんなが満足するものはないようである。
しかし、一つをフォード大統領は、全国テレビで提案した。
彼は「弾丸をかむ」という表現を使った。
このことばは新しくはなかったのだが、国中に広まった。
フォード氏は、アメリカの国民が弾丸をかんで、一人一人が犠牲になるようにと要請した。
彼は、これがインフレを止める助けになるといった。
彼は、国民が食べる量を減らし、ガソリン量を減らし、お金を節約し貯金をするようにと力説した。
彼は国民に訴えて、インフレと戦うために必要なことは、いかに不愉快であろうともやるようにといった。
このようなことが「弾丸をかむ」ということばの意味であり、事を素早く、少しの遅れもなく、どんなに苦しくても行うことである。
だが「弾丸をかむ」が、これとどのような関係があるのだろうか。
もっともな質問である。
つまりこうである。ご存知のように、痛みが激しいと、手を握りしめたり、歯をくいしばったり、指を強くかんだりするものである。
それでいくらか痛みが治まるらしい。
戦場では、痛み止めの薬がないこともある。緊急手術の間中、兵士は、いわば、弾丸をかんで苦しみを和らげようとするのだそうだ。そうすれば、弾丸をかむ用意ができているということは、苦しい決心をして、それがもたらすどんな苦しみにも耐える準備ができるのである。
この表現は、それほど古くはない。
1960年代に息を吹き返したようである。
ニクソン前大統領がその表現を使ったのは、1968年である。
彼は、議会が弾丸をかんで、彼の増税案を承認するよう要請した。所得税に10%の追加税を課する案であった。
しかし、彼が初めてこのことばを使ったわけではない。
アメリカでは、インフレを止めるために多くの案が出されて来た。
重要な提案の一つが賃金物価統制である。
この案には賛同者も反対者も多い。
反対者の筆頭は大統領自身である。
ほかの人と同じように、彼が思ったのは、賃金物価に関する法律は効果がないということである。
しかし、フォード氏の計画「弾丸をかんで、個人的な犠牲を払う」にも同じだけの反対者がいる。
彼らはそれでは弱すぎ、効果がないと考えている。
それはともかく、インフレはまだ続いており、すべての人々の問題となった。主婦、労働者、政府の役人、それも国の指導者たちだけでなく、州知事、市町の役人たちの問題である。
この問題が、ニューヨークではあまりに深刻になったため、市長は厳しい手段をとることを約束したが、彼がやったことは、ほんの少しである。
ある政治家は、市長が弾丸を少しずつかじっているといった。ほんのちょっぴりかんでいるというわけである。
それはまた、フォード大統領の弾丸をかんで、進んで個人的な犠牲をはらおうという案に反対する多くの者の気特を表している。
彼らが批判するのは、大統領の提案が本当にかむのではなく、軽くかじっているだけだということである。
 
Reproduced by the courtesy of the Voice of America
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