※本文をクリック(タップ)するとその文章の音声を聴くことができます。
右上スイッチを「連続」にすると、その部分から終わりまで続けて聴くことができます。
※ "PlayBackRate" で再生速度を調節できます。
※青空文庫の作品は、原文の逐語訳になっていない部分があります。その部分は日本語訳が欠落しています。ご了承ください。
LITTLE WOMEN 若草物語 1-2
CHAPTER ONE PLAYING PILGRIMS 巡礼あそび 2
Alcott, Louisa May オルコット ルイーザ・メイ
AOZORA BUNKO 青空文庫
あたし、男の子のあそびごとや仕事や身なりが好きなのに、女に生れてつまらないわ。
この頃は、おとうさんといっしょに、戦争がしたくてうずうずしてるのに、
家にいてよぼよぼばあさんみたいに、編物をしてるだけなんだもの。」
まあ名前でも男の子らしくして、あたしたちのにいさんになって、がまんしておくんだわねえ。」 ベスがなぐさめるようにいいました。
メグは、またお説教をつづけました。「それから、エミイは、気むずかし屋で、かたくるしいわ。
今はかわいいけど、気をつけないと大人になったら、がちょうみたいに気どり屋さんになるわ。
上品ぶらないときは、しとやかなのも、いい言葉も好きだけど、あんたのませた言葉は、ジョウの下品な言葉とおなじように、よくないわ。」
「ジョウがおてんばで、エミイが気どり屋さんなら、ねえさん、あたしはなあに?」と、ベスはじぶんもお説教されたがって口をはさみました。
「あなたは、かわいい子、ただそれだけよ。」メグは、やさしくそういいましたが、これには、だれも反対しませんでした。
ところで、みなさんは、この四人の姉妹がどんな人がらか、知りたいでしょう。おもてには十二月の雪がふり、家のなかには、たのしそうにストーブの火のもえている夕暮のうすやみのなかで、編物をしている四人姉妹をスケッチしてみましょう。
その前に、部屋のようすをいえば、敷物の色はさめ家具類は質素ですが、壁にはりっぱな絵が一つ二つかけられ、本棚にはぎっしりと本がならび、出窓には菊やばらが咲いています。古い部屋ですが、平和な家庭のなごやかさが、隅々にまで充ちわたっていました。
長女のマアガレット(メグ)は十六で、かわいい娘です。ふとって、目が大きく、とび色の髪はふさふさとしており、口もとがかわいく、じぶんでもいくらか得意の白い手をしています。
十五になるジョウは、せいが高く、やせて、小麦色の肌をして、すらりと長い手足をもてあましているようすから、なんとなく仔馬を思わせます。
きりっとした口もと、おどけた鼻、きつい灰色の目をもつ顔は、ときにはするどくなり、ときにはおどけ、ときには思い深げになります。
その長いゆたかな髪は、すぐれて美しいけれど、いつもむぞうさにネットのなかに束ねています。
みんながベスとよぶエリザベスは、ばら色の血色の、くせのない髪の、あかるい目をした十三の少女で内気でおだやかですから、
おとうさんが「ひっそり姫」という名をつけたのは、たしかにうってつけでした。
エミイは、一ばん下ですが、じぶんでは一ばんだいじな人物だと思っています。
目は青く、ちぢれた金髪を肩までたらした、あどけない少女で、青白く、やせて、いつも起居ふるまいに気をつける、わかい貴婦人です。
時計が六時をうちました。ベスはストーブのまわりを掃いて、スリッパをならべてあたためました。やがて、おかあさんのお帰りです。
みんなが、じぶんが買っておかあさんにあげるといいはり、また、一もめ、もめそうでしたが、
ベスが、「みんなで、おかあさんにクリスマスのプレゼントをあげましょうよ。じぶんのものは、買わないで。」と、いったので、
Copyright (C) Louisa May Alcott, Masaru Mizutani