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LITTLE WOMEN 若草物語 21-1
Chapter Twenty-One Laurie Makes Mischief, And Jo Makes Peace ローリイのいたずら 1
Alcott, Louisa May オルコット ルイーザ・メイ
AOZORA BUNKO 青空文庫
あくる日、ジョウはむずかしい顔をしていました。れいの秘密が心の重荷になったのです。
そして、おかあさんは、ジョウに、あなたは永いあいだ家にとじこもっていたから、外へいって思いきり運動でもしなさいといいました。
そこで、ジョウは、ローリイのところへ遊びにいきましたが、
このいたずら好きの少年は、ジョウがなにか秘密をもっているのをかぎつけて、本音をはかせようとし、
なあにすっかり知っているといったりそんなことは聞きたくないといったり、しつこい努力を重ねたすえに、とうとうその秘密がメグとブルック氏に関することだということをたしかめました。
そして、ローリイは、じぶんの家庭教師が、その教え子に秘密をうちあけてくれないのを怒り、無視されたその侮辱に、なにかしかえしをしようと思いたちました。
メグは、話しかけられるとびっくりしたり、人から見られると顔をあかめたり、なやましそうな顔をして裁縫をしたり、
おかあさんが尋ねると、どこもわるくないと答え、ジョウが尋ねると、ほっておいてちょうだいと答えました。
「メグねえさんは、あれを空気のなかで感じたんです。あれって恋のことですよ。そして、どんどん進行していくんです。
「小川の声は銀鈴のようにささやく。」とうたっていたし、
親切にしてあげて、おとうさんが帰っていらっしゃれば、なにもかもかたがつきます。」
そのあくる日、ジョウがれいの郵便局にはいっていたものを配達して、「メグねえさんのところへお手紙よ。
ローリイ、なんだってこんなにいかめしく封をしたんでしょう?」
メグは、手紙を読むと、ただならぬ声をあげ、おびえたような顔をしました。おかあさんもジョウもおどろいてしまいました。
「まあ、ひどい、あなたが書いて、あの不良少年が手伝ったのでしょ。
よくもあなたは、あたしたち二人に、こんならんぼうな、いやしいまねができたものねえ。」と、メグは、胸がつぶれでもしたように泣きました。
ジョウは、おかあさんといっしょに、その手紙を読みました。
最愛のマーガレットへ、
わたしはもう熱情をおさえることができなくなりました。帰宅する前にじぶんの運命を知りたく思います。
まだ御両親には話さないでいますが、わたしたち二人が愛し合っていることがわかれば、御承認下さると思います。
ローレンスさまは、必らずわたしを適当なところへお世話下さるでしょう。そのときは、愛する少女よ。わたしを幸福にして下さるでしょう。
なお、御家族にはなにごともおもらしなきよう。ただ希望の一言をローリイさんの手をとおしてお送り下さい。
「まあ、まあこのいたずら小僧! あたしがおかあさんとの約束をまもっているしかえしなんだ。
いって、うんと怒って、ひきずって来てあやまらせる。」と、ジョウは、かっとなり、すぐにもとび出しそうにしましたが、
「ジョウ、お待ち、まずあなたが、じぶんの証をたてなければなりません。
「いいえ、おかあさん。けっして。あたし今までにこの手紙見たこともなく、なんにも知りません。
もし関係したのなら、もっとうまく、もっとじょうずに書きます。
あたしだって、ブルックさんがこんな手紙書かないことわかってますわ。」と、ジョウはいまいましそうに、その手紙を床にたたきつけました。
「あのかたの書いたのと似ています。」と、メグはそれをじぶんの手にあるのと見くらべながら口ごもりました。
「メグ、まさかあなたは返事は出さなかったでしょうね?」と、おかあさんはせきこんでいうと、
「あたし、あのいたずら小僧をひっぱって来て白状させ、うんとしかってやります。」と、
「およし、考えていたよりも、こまったことになりました。
メグ、みんなお話しなさい。」 おかあさんは、メグのそばに腰をおろし、ジョウをしっかりとつかまえました。
おかあさんにうち明けるつもりでしたが、ブルックさんが好きだとおっしゃったこと思い出して、四五日くらい秘密にしといてもいいと思いましたの。
「そんなことを考えるのはまだ年がわかいし、それにおかあさんに秘密を持ちたくないから、おとうさんにいって下さい、
御親切はありがたいと思いますが、ただのお友だちとしてつき合いをしていきたいと申しあげましたの。」
おかあさんは、いかにも満足そうにほほえみ、ジョウは手をたたいて、「おねえさんは、つつしみ深いわ、
メグ、いってちょうだい、あの人、なんといってよこした?」
Copyright (C) Louisa May Alcott, Masaru Mizutani