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LITTLE WOMEN 若草物語 23-1
Chapter Twenty-Three Aunt March Settles The Question マーチおばさん 1
Alcott, Louisa May オルコット ルイーザ・メイ
AOZORA BUNKO 青空文庫
はたらき蜂が、女王蜂のまわりにむらがるように、おかあさんと娘たちは、そのあくる日、ベスのそばの大きなイスに身体をうずめたおとうさんのまわりにたかり、あらゆる親切なお世話をしました。
そわそわしたり、気がぬけたようになったりしました。
午後、ローリイが、窓ぎわのメグを見て、雪のなかに片ひざをつき、胸をうって髪をかきむしり、哀願するように、りょう手を組み合せて、拝むようなかっこうをしました。
メグが、ばかなまねはおよしなさいというと、ハンカチで空涙をふいていってしまいました。
「おばかさん、なんのつもりかしら?」と、メグがいうと、
ジョウが「あなたのジョンが、こうなるという実演なのよ。あわれでしょう。」と、せせら笑っていました。
メグは、顔をしかめ、わたしをこまらせないで、今までどおりみんなで遊んでいればいいといいますと、ジョウは、
おねえさんはちっともおねえさんらしくなくなったわ。遠いところへいっておしまいになったみたい。
あたしおねえさんみたいに、ぐずぐずしてるのきらい。だから、そうする気ならさっさときめるといいのよ。」
「あたしのほうからいい出せるものではないし、おとうさんはあのかたに、あたしのことわかすぎるとおっしゃったんですもの、あのかたもいい出せないわ。」
ジョウは、メグが気がよわいから「あの人にいい出されたら、なんていっていいかわからなくなり、泣き出すか顔をあかくするか、ノウがいえないで、あの人の思うようになってしまう。」と、いいますと、
メグは「あなたの思うほど、あたしばかでもよわ虫でもないわ。
あたしにだって、いうことはいえるわ。」とやりかえしました。
メグは、もしいい出されたら、「あたしすっかりおちついていうわ。ありがとうございます。ブルックさま、けれど、まだ年がわかすぎますので、今のところ婚約などできませんの。父もおなじ意見でおりますの。どうかなにもおっしゃらずに、今までどおりお友だちとしておつき合い下さいませ。」
あのかたの感情を害することを気にして、きっと敗けてしまうわ。」
「いいえ敗けるものですか、つんとすまして部屋を出ていくわ。」
そのとき、だれか扉をたたきました。開けると、それはジョンでした。
「こんにちは、こうもりがさをとりに来ました。あのう、おとうさんの御容態、今日はどうかと思いまして。」 ジョンは、メグとジョウの、意味ありげな顔を見て、ややあわてながらいいました。
「たいそう元気でいますわ。かさたてにいますからつれて来ます。それから、あなたのお見えになったことも知らせて来ます。」
と、ジョウは、かさと、おとうさんを、ごっちゃにした答えをしながら、メグに例の口上をいわせ、つんとすまして部屋を出ていかせるために、じぶんは部屋を出ました。
「おかあさんが、お目にかかりたたがっていますわ。どうぞおかけになって、すぐよんで来ますから。」
ジョンは、メグにむかって、「お逃げにならなくてもいいでしょう。ぼくがこわいんですか?」と、ひどく、感情を害したような顔つきでしたので、
「父にあんなに親切にして下すったのに、どうしてこわがりましょう。どうしてお礼を申しあげたらいいかと思っていますのよ。」
「どうしてお礼をしていただくか、いってあげましょうか?」と、ジョンは、メグの手を握りしめ、愛情をこめて見るので、
メグは「いいえ、いいえ、どうぞおっしゃらないで。」と、やはりこわそうに手をひっこめようとしました。
Copyright (C) Louisa May Alcott, Masaru Mizutani