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LITTLE WOMEN 若草物語 3-2
CHAPTER THREE The Laurence Boy ローレンスのぼっちゃん 2
Alcott, Louisa May オルコット ルイーザ・メイ
AOZORA BUNKO 青空文庫
大晦日の晩は、客間はからっぽでした。二人の妹は、着付役にまわり、二人の姉は、夜会のお仕度という、きわめて重要なお仕事に夢中でした。
化粧はかんたんでも、二階へかけあがったり、かけおりたり、笑ったりしゃべったり大さわぎで、
メグが額の上にすこし捲髪がほしかったので、ジョウがこてで焼いたら、
このほか、小さい失敗は、かず知れず、それでもやっと二人の仕度はできあがりました。
メグは、銀褐色の服、空色ビロウドの、リボンに、レースのふち飾り、そして、真珠のピンをさしました。
ジョウは、海老茶色の服に、かたい、男のするようなカラア、それに白菊を飾りにしただけでしたが、ともかく、二人ともすっきりとしていました。
二人とも、きれいな手袋を片方ずつはめ、よごれた方をもちました。苦心のお仕度でありました。
姉妹が、すまして歩道へ出ると、おかあさんは、「いってらっしゃい、
お夜食はたくさん食べちゃいけませんよ。ハンナを十一時に、お迎えにあげるから、帰っていらっしゃい。」
「もしもし、二人ともきれいなハンカチもっていますか?」と、念をおしました。
「ええ、まっ白よ、ねえさんはコロン水もかけました。」と、ジョウは答えました。
二人は、カーデナア夫人の家にいくと、その化粧室で、かなり長いあいだ鏡をのぞいてから、
すこしびくびくしながら、階下におりていきました。二人は、めったに舞踏会などに招待されたことがないので、今晩の会は略式でも、二人にとっては大きな事件でした。
Copyright (C) Louisa May Alcott, Masaru Mizutani