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The Adventures of Sherlock Holmes シャーロック・ホームズの冒険
A Scandal in Bohemia ボヘミアの醜聞 7
Sir Arthur Conan Doyle アーサー・コナン・ドイル
AOZORA BUNKO 青空文庫
「ハドソンさんが皿を並び終えたら、明かそうではないか。ほら。」とホームズは家主の用意してくれた簡単な食事にありつく。「食べながら説明しよう。時間が足りないのだ。
アイリーン嬢、いや夫人か、七時には馬車で戻ってくる。
関わり合いにならんことだ。最終的に、僕は家の中へ運ばれてゆくこととなる。
「手を振るから――そこで――これから渡すものを部屋に投げ込んでくれたまえ。同時に、火事だ、とわめくんだ。
「取り扱いに注意するほどのものではない。」とホームズは懐から葉巻型の長い筒を取りだした。
「配管工が使うごく普通の発煙筒だ。自動着火するよう、雷管が両端に付されている。
火事だと叫けば、大勢の野次馬が同調してくれるだろう。
通りの外れまで歩いてゆけば、僕は十分で戻ってくる。
「私は傍観し続け、窓のそばへ寄り、君を見、合図があればこいつを投げ込み、火事だとわめいて、通りの角で君を待つ。」
「見事だ。もうそろそろ時間だ、僕は新しい役柄にならねば。」
ホームズは寝室に姿を消したかと思うと、ものの数分で、愛想が良く善良そうな非国教会の牧師になって戻ってきた。
鍔広の黒い帽子、よれよれのズボン、白いネクタイに親切そうな笑顔、慈悲深く世話焼きな風貌、いずれをとっても名優ジョン・ヘアに負けず劣らずだ。
犯罪の専門家になったため、演劇界は名優を失い、科学界も名研究家を失った。
Copyright (C) Sir Arthur Conan Doyle, Yu Okubo