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The Return of Sherlock Holmes シャーロック・ホームズの帰還
The Adventure Of The Dancing Men 踊る人形 5
Sir Arthur Conan Doyle アーサー・コナン・ドイル
AOZORA BUNKO 青空文庫
マーティン警部は物わかりもよく、我が友人を自由にやらせてくれ、ただその結果を見守るだけで満足のようだった。
地元の医者である白髪の老人が、ちょうどヒルトン・キュービット夫人の部屋から降りてきた。その話によれば、傷は深いが命に別状はないとのこと。
弾が額を割っており、意識を取り戻すにはしばらく時間がかかるそうだ。
誰かに撃たれたのか、彼女が自分で撃ったのか、医者ははっきりとした所見を述べなかった。
室内には拳銃が一丁だけあり、弾倉がふたつ空になっていた。
ヒルトン・キュービット氏は心臓を打ち抜かれていた。
判断しがたいのは、旦那が妻を撃ってから自殺したのか、それとも妻が犯人なのか、ということだ。なぜなら、リヴォルヴァはふたりのあいだの床に落ちていたからである。
樫の板壁と高い窓のある古い広間が、聴取の場所にあてられた。
古風な大型の椅子にホームズは腰掛け、そのやつれた顔に鋭い眼光を光らせる。
私はその目に、ついに救えなかった依頼人に報いるまでは、命をかけても捜査にのぞむという決意の色を読み取った。
そこへ、身だしなみのよいマーティン警部、白髪の老医師、私、ぼんやりした村の巡査が、妙な同席人として加わるのだった。
ふたりは何かバーンという音に目を覚ましたが、一分ほどしてさらにもう一発が聞こえた。
ふたりは隣り合わせの部屋で寝ており、キングのおかみがソーンダズの部屋へかけこんだ。
書斎の扉が開いていて、ローソクが一本、卓上にともっていた。
そしてふたりの雇い主が、うつぶせになって部屋の真ん中に倒れていた。
窓のそばにその妻がうずくまっており、壁に頭をもたせかけていた。
室内はもちろん、廊下にも煙が充満し、火薬の臭いがした。
部屋の窓は確かに閉められて、内側から鍵もかかっていた。
ふたりの女は、この点に関して自信をもって保証した。
それから馬番と手伝いの少年の手を借りて、負傷した女主人を自室へ移した。
女の方は普段着だが――男の方は寝間着の上に、化粧着ドレッシング・ガウンを重ねていた。
ふたりの知る限り、夫婦のあいだに諍いのあったためしはなく、
マーティン警部に答えた言葉では、扉という扉はすべて内側からしっかりと鍵がかけられてあって、誰かが家の中から逃げ出したはずはない、とのことであった。
それからホームズの問いに対しては、火薬の臭いがしたのは、一番上の自分たちの部屋を飛び出したときであった、と答えた。
「この事実を、よく覚えておいてください。」と、ホームズは捜査仲間に言った。
書斎は小さな部屋であった。三方には本棚があり、書き物机は何の変哲もない窓に向かって置かれ、そこから庭が見渡せた。
まず我々は第一にこの不幸な地主の遺体を調べた。そのがっしりとした体躯が、部屋を横切るように倒れていた。
弾は正面から撃たれ、心臓を打ち抜いたあと、体内に残ったらしい。
老医師の話では、妻も顔にはそのあとがあるものの、手にはなかったとのことだ。
「手にないだけでは何もわからない。――もっともあれば、一目瞭然だが。」とホームズは言った。
「弾の込め方がまずくて火薬が後ろへ吹っ飛ばない限り、何発でも跡を残さず撃つことができる。
キュービット氏の遺体はもう動かしてもよろしいでしょう。
それから先生、夫人を撃った弾は、まだ摘出してませんね?」
「しかし、あの窓の縁を貫いている弾も、しっかり勘定に入れねば。」
さっと振り返り、ホームズはやせた長い指で一点を指さした。下側の窓枠、床から一インチのところに、何かに貫かれた穴があった。
Copyright (C) Sir Arthur Conan Doyle, Yu Okubo