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The Old Man and the Sea 31 老人と海
Ernest Miller Hemingway アーネスト・ヘミングウェイ
AOZORA BUNKO 青空文庫
朝になり、戸口から少年が覗き込んだ時、彼はまだ寝ていた。
今朝は強風で流し釣りの船が漁に出られないので、少年はゆっくり寝て、それからいつものように老人の小屋に来たのだった。
老人が呼吸しているのが分かった。そして老人の手を見て、少年は泣き出した。
音を立てずに小屋から出て、コーヒーを用意しに行った。道を下りながら、少年はずっと泣いていた。
多くの漁師が船のまわりに集まり、そこに括られた物を見ていた。一人はズボンの裾をまくり上げて水に入り、その骨の全長をロープで測っていた。
先に一度来ていたし、船の片付けは漁師の一人がしてくれている。
「寝てるよ」少年も大声で言った。泣いているのを見られても、少年は気にしなかった。「そのまま、寝かせといてあげよう」
「鼻の先から尻尾まで、十八フィートあるぞ」魚を測っていた漁師が大きな声で言った。
「とんでもない魚だったな」店主が言った。「あんな魚、初めてだ。お前も昨日立派なのを二匹釣ったしな」
「あんなの駄目だ」少年はそう言って、また泣き出した。
「いい」少年は言った。「みんなに、サンチャゴを邪魔しないように言っといて。また来る」
少年は、コーヒーの入った缶を持って小屋へ行き、老人が起きるまでそばに座っていた。
しかしまた深い眠りへと戻った。少年は通りを渡って、コーヒーを温めるための薪を借りてきた。
「起き上がらなくていいよ」少年は言って、コーヒーをコップに注いだ。「飲んで」
「マノーリン、やられたよ」彼は言った。「奴らに完全にやられた」
「ぺドリコが船と道具の片付けをしてるよ。あの頭はどうする?」
「欲しい」少年は言った。「ねえ、色々と計画を考えないといけないよ」
Copyright (C) Ernest Miller Hemingway, Kyo Ishinami