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LITTLE WOMEN 若草物語 2-1
CHAPTER TWO A Merry Christmas たのしいクリスマス 1
Alcott, Louisa May オルコット ルイーザ・メイ
AOZORA BUNKO 青空文庫
クリスマスの朝、まだほのぐらい明方に、ジョウが一ばんさきに目をさました。
ジョウは、おかあさんとの約束を思いだして、枕の下へ手をさしこみ、小さい赤い表紙の本をひきだしました。
それはこの世でもっともすぐれた生活をした人の美しい物語で、よい道案内だと思いました。
ジョウは、「クリスマス、おめでとう。」といって、メグを起し、枕の下を見てごらんなさいといいました。
ありました。やはり、あかい絵のある緑の表紙の本で、おかあさんの手でみじかい言葉が書かれていました。
まもなく、ベスとエミイが目をさまし、枕の下に本を見つけました。一冊は鳩羽色、一冊は空色の表紙でした。みんなは起きなおり、本をながめて話し合いましたが、そのうちに東の空がばら色に染ってきました。
「まい朝、目がさめたらすこしずつ読んで、その日一日、あたしを助けてもらいましょう。」
ジョウは片手をメグの身体にかけ、ほおをすりよせました。
三十分ばかりして、メグはジョウといっしょに、おかあさんにプレゼントのお礼をいいに階下へかけおりていきました。
「おくさまは、どこかの貧乏な人がおもらいにきたので、なにかいるものを見に、すぐお出かけになりました。
おくさまみたいに、食物や着物や薪までおやりになる方はありませんよ。」と、ハンナが答えました。ハンナは、メグが生れてから、この家族といっしょに暮してきて、女中というよりは、友だちとしてあつかわれているのです。
「すぐにお帰りになると思うわ。だから、お菓子をやいて、すっかり用意しておいてね。」と、メグはかごにいれてソファの下にかくしておいたプレゼントを、いざというときに、とり出せるようにしてから、
「エミイが、リボンをかけるとかといって、もっていったわ。」と。ジョウがいいました。
ハンナが洗ってアイロンをかけてくれたのよ。マークはあたしがつけたの。」とベスは、ぬいとりの文字をほこらしげにながめました。
おかしいね。」と、ジョウがいうと、ベスはこまったような顔をして、
「いけないの?、エム・マーチだと、姉さんもおなじだから。」
きっとおかあさんの気にいるわ。」と、メグは、ジョウには顔をしかめ、ベスには笑顔を見せていいました。
そのとき、扉の音がしたので、ジョウは、そらおかあさんだ、
「どこへいっていたの? うしろに、かくしているのなあに?」 メグは、怠け者のエミイが、朝早く外出してきたのを見てびっくりして尋ねました。
あたし小瓶を大瓶にかえてきたの。これでお金はないわ。もうよくばりはやめにするのよ。」
エミイのかわいい努力に感じて、メグはさっそく彼女を抱きしめ、ジョウは窓へいき、じぶんの一ばんいいばらの花をとってきて、その瓶をかざりました。
また扉の音がしました。かごはソファの下にかくされ、姉妹たちはテーブルにつきました。おかあさんがくると、姉妹たちは口をそろえていいました。
「クリスマス おめでとう 本をありがとうございました。
「みなさん、クリスマス、おめでとう! さっそく読みはじめてうれしく思いますよ。つづけて読むようになさいね、
Copyright (C) Louisa May Alcott, Masaru Mizutani