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LITTLE WOMEN 若草物語 2-2
CHAPTER TWO A Merry Christmas たのしいクリスマス 2
Alcott, Louisa May オルコット ルイーザ・メイ
AOZORA BUNKO 青空文庫
すぐ近くに、あかちゃんを生んだ貧乏な女の人がいます。
火の気がないので、六人の子供たちが、こごえないように、一つのベッドにだき合ってねています。
それに、なにも食物がないので、一ばん上の子が寒くてひもじくて、とても苦しんでいるといいにきました。
みなさん、あなた方の朝御飯を、クリスマスのプレゼントにあげませんか?」
みんなは一時間近くも待っていたので、ひどくお腹がすいていたので、ちょっとのあいだ、だまっていました。が、ジョウが勇ましくさけびました。「食べないうちに、おかあさんが帰っていらして、ほんとによかった。」
エミイは、クリームと軽焼を持っていってあげるといいました。その二つともエミイの一ばん好きなものでした。
メグは、早くもそばをつつみ、パンを大きな皿にもりました。
おかあさんは、満足そうにほほえみながらいいました。「きっと、みなさんは賛成すると思っていました。
さあ、来て手伝って下さい。帰ったらパンとミルクで朝御飯をすませて、夕飯にそのうめ合せをしましょう。」
A poor, bare, miserable room it was, with broken windows, no fire, ragged bedclothes, a sick mother, wailing baby, and a group of pale, hungry children cuddled under one old quilt, trying to keep warm. いってみておどろきました。なんと、あわれな部屋でしょう。窓はやぶれ火の気はなく、蒲団はぼろぼろでした。おかあさんは病気で、あかんぼうは泣き、青い顔のひもじい子供たちは、一枚の蒲団にくるまってかたまっていました。
みんながはいっていくと、子供たちは目を大きく見はり、青ざめた唇にほほえみをうかべました。
「ああ、神さま! 天使たちがいらした!」と、そのあわれな女は、うれし泣きに泣きながらさけびました。
ジョウは、「頭をかけ手袋をはめたおかしな天使でしょう。」といって、家中の者を笑わせました。
たちまち、この家にやさしい精霊がはたらきだしたように思われました。
薪を運んできた、ハンナは火をおこし、古い帽子や、じぶんの肩かけで窓のやぶれをふさぎました。
おかあさんは、母親にお茶やかゆをあたえ、あかんぼうをじぶんの子供みたいに着物を着せ、これからもお世話をしますと約束してなぐさめました。
姉妹たちは、そのあいだにテーブルの支度をし、子供たちを炉のまわりにすわらせ、お腹のすいている小鳥たちを養うように食べさせました。
「ああ、おいしい、子供の天使!」と、子供たちは食べながらいって、紫色にこごえた手をあたたかい火であたためました。
帰ってから、姉妹たちは、パンとミルクしか食べませんでしたが、それはたのしい朝御飯でした。おそらくこの市で、この少女たちより、幸福であった人はなかったでしょう。
おかあさんが、すこしおくれて帰って来たとき、プレゼントはもう用意され、ベスの陽気な行進曲とともに、メグがおかあさんを、ていねいに設けの席につけました。
おかあさんは、ほほえみをたたえて、プレゼントについている札を読み、
スリッパをすぐにはき、ハンケチにコロン水をかけて、かくしにしまい、ばらの花を胸にさし、きれいな手袋をはめました。
それから、たのしい談笑とくちづけがつづき、よい思い出としてみんなの心に残ることばかりでした。
やがて、めいめい仕事をはじめました。仕事は晩のお芝居の支度で、
金をかけずにあり合せのもので、気のきいた小道具や衣装をつくるのでした。
その晩、招かれた十人あまりの少女たちが、上等席のベッドの上にならびました。
Copyright (C) Louisa May Alcott, Masaru Mizutani