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LITTLE WOMEN 若草物語 3-4

CHAPTER THREE The Laurence Boy ローレンスのぼっちゃん 4

Alcott, Louisa May オルコット ルイーザ・メイ
AOZORA BUNKO 青空文庫
 それから、話はフランス語のことになり、
ジョウが、じぶんは読めてもしゃべれないだけれど、ちょっと話してみてほしいといいますと、ローリイは、フランス語でいいました。
「あのかわいいスリッパはいた人はだれですか?」
「あれは姉のマーガレットです。あなたは、わたしのねえさんをかわいいと思いますか?」
「ええ、おねえさんは、なんとなくドイツの少女を思わせます。いきいきして、それでしとやかで、りっぱな淑女みたいに踊りますね。」
 ジョウは、姉をほめられてうれしく、ぜひメグに話してやろうと思いました。
ローリイは、もうすっかりはにかみもせず、心を開いて話し、ジョウも、今は服のことなど忘れて、快活ないつものジョウになり、
ローリイが好きになりました。それで、ローリイのことを、姉妹に話してやるために、顔かたちや身体つきなどをよく憶えておこうと思っていくども見なおしました。
けれど、年はいくつでしょう? 
ジョウは、おいくつといいそうにしましたが、やっとこらえて、遠まわしに尋ねることにしました。
「もうじき大学へいらっしゃるんでしょう?」
「まだ二三年はだめです。
十七にならなくてはいけません。」
「来月、十六です。」
「あたしは大学へいきたいけれど、あなたはいきたそうではありませんのね。」
ぼくはイタリイに住んでじぶんの好きなように暮したい。」
 ジョウは、ローリイのいう、その好きなように暮したいということを、くわしく聞きたいと思いましたが、眉をひそめてふきげんに見えたので、気をかえさせようと思って、足拍子をとりながら、「ああ、いいポルカね。あなたなぜいってダンスなさらないの?」と、尋ねました。
「あたしはだめ。あたし姉さんに踊らないといったの、なぜって、いうと……」
 ジョウが、いおうか、笑ってすまそうかとしていると、ローリイは、しきりにわけを尋ねます。
だれにもいわないならばと念をおして、
 ローリイは笑いませんでした。
それじゃ、あっちの細長い広間で踊りましょう。だれにも見られないから。」
だれもいない、その広間で、ポルカを踊りました。ローリイは、ダンスがじょうずで、ドイツ流を教えてくれたが、まわったりはねたりすることが多いのでおもしろく踊れました。
つぎの部屋でメグが手まねきしたので、ジョウがしぶしぶいってみると、メグは足をかかえ、青い顔をしてソファにすわっていました。
「高いかかとがひっくりかえって、くるぶしをひどくいためたの。
「あんまりかかとが高いから、けがすると思ったわ。お気のどくね。」 
ジョウは姉のくるぶしをそっとなでてやりながら、「だけど、どうしたらいいでしょう。馬車を頼むか、ここに夜通しいるか。」と、こまった顔をしました。
 
Copyright (C) Louisa May Alcott, Masaru Mizutani
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