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LITTLE WOMEN 若草物語 4-4
CHAPTER FOUR Burdens 重い荷をかついで 4
Alcott, Louisa May オルコット ルイーザ・メイ
AOZORA BUNKO 青空文庫
すると、メグがいいました。「それで、あたしも話すこと思いついたわ。
今日キングさんのところへいったら、なんだかへんなの。それで、あたし一人の子に尋ねたら、一ばん上の兄さんがなにか大へんなことをして、おとうさんから家をおいだされたんですって。
家のはじになるような、らんぼうな男の兄弟がいなくてよかったわねえ。」
「今日、スージーさんは、先生の漫画を書いたので、三十分も教壇にたたされたの。あたしスージーさんが、きれいな、めのうの指輪をはめて学校へ来たので、うらやましく思っていたけれど、
あんなはずかしい目にあうようじゃ、いい指輪はめたってしあわせじゃないわ。」
「今朝あたしハンナにかわって、魚屋へかきを買いにいったの。
すると、貧乏そうな女の人が来て、仕事がなくて子供に食べさせるものがないから、みがきものでもさせて、お魚をすこし下さいと頼んだの。
すると、魚屋さんいそがしいもので、つっけんどんに、だめよといったの。すると、そのときローレンスさんがしおれて帰っていく女に、大きな魚をステッキでひっかけてあげたの。
女は、びっくりして、よろこんで、なんどもお礼をいって、ローレンスさんに天国へいけるようにって祈ったの。」
みんなはベスの話を笑いましたが、もちろん心をうたれました。そして、おかあさんにお話をねだりました。「そうね、おかあさんは、会で青いネルを裁っていたら、おとうさんのことが、みょうに心配になって、もしものことがあったら、どんなに頼りなく、さびしいだろうと思っていました。
すると、なにか註文をもっておじいさんが、心配そうな、疲れたようすでやって来ました。
二人は戦死をし、一人はとりこになり、一人はワシントン病院にいるんですって。そして、これからそこへいくんですって。
けれど、すこしもぐちをこぼさないで、よろこんでお国のために、子供たちを出したというのです。
おかあさんは、たった一人おとうさんを出してつらがっています。はずかしくなりました。
そればかりか、おじいさんは、たった一人ぼっちですがおかあさんには四人も娘がいて、なぐさめてくれます。ほんとに、おかあさんは、じぶんの恵みふかい幸福がありがたかったので、おじいさんに、つつみとお金をあげ、教えていただいた教訓に、心からのお礼をいいました。」
ジョウは、もう一つ、今のようないい話をと望みました。
おかあさんは、にっこり笑って、すぐに話しはじめました。
「むかし、食べたり着たり、なに不足のない四人の娘がありました。たのしみも、よろこびもありあまり、親切なお友達や両親があって、愛されていたのに、娘たちは満足しませんでした。(ここで聞き手たちは、こっそり見かわして、お裁縫に精を出しました)
娘たちはよくなろうと決心するのですが、やりとげることができないで、これがあったらとか、あれができたらとかと、考えました。
それで、あるおばあさんに、幸福にしてくれるまじないがあれば教えて下さいといいましたら、あなたがたが満足に思うとき、恵みということを考えて感謝なさいといいました。(ここでジョウは、なにかいいたそうでしたが、話がおわらないのでいうのをやめました)
それで、りこうな娘たちが、その言葉を試してみますと、じぶんたちがいかによい暮しをしているかわかってびっくりしました。
One discovered that money couldn't keep shame and sorrow out of rich people's houses, another that, though she was poor, she was a great deal happier, with her youth, health, and good spirits, than a certain fretful, feeble old lady who couldn't enjoy her comforts, a third that, disagreeable as it was to help get dinner, it was harder still to go begging for it and the fourth, that even carnelian rings were not so valuable as good behavior. 一人は、お金持でも家のはじと悲しみは救えないということがわかりました。一人は、貧乏でも、若くて元気なら、じぶんのたのしみもたのしめない、気むずかしいおばあさんより、ずっと幸福ということがわかりました。一人は食事の仕事はいやだけど、食物をもらって歩くのは、つらいということがわかりました。一人は、めのうの指輪よりもお行儀のいいほうがいいということがわかりました。
それで、四人の娘たちは、ぐちをやめ、さずかった恵みを感謝し、もっとよくなろうと考えました。」
「おかあさんは、あたしたちのお話をとって、あたしたちをお説教なさるの、ずるいわ。」と、メグがいいますと、
ベスがいいました。「あたし、そういうお説教すきだわ。おとうさんがよく話して下さったわ。」
エミイは、つぶやくように、「あたし、そう不平いわないけど、もっとつつしむわ。スージーさんのやりそこないで、あたしほんとに教えられたんですもの。」
すると、ジョウが、ふざけて、「おかあさんの教えは、よかったわ。もしか忘れたら、チョール人のおじいさんみたいに、子供らよ慈悲ちゅうもんを、ようくかんげえねせえと、おかあさん、おっしゃって下さい。」と、いいました。これでおもおもしい空気が、あかるくなりました。
Copyright (C) Louisa May Alcott, Masaru Mizutani