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The Memoirs of Sherlock Holmes シャーロック・ホームズの思い出
The The Reigate Puzzle ライゲートの大地主 3
Sir Arthur Conan Doyle アーサー・コナン・ドイル
AOZORA BUNKO 青空文庫
「これが何かの約束だと仮定すると、」と警部は続ける。「このウィリアム・カーワン、正直者という評判があるとはいえ、強盗団の一味であるかもしれないという見立てももちろんありえてきます。
そこで待ち合わせ、戸を押し破る手助けまでして、そのあと仲間割れしたのかもしれません。」
「この文章、飛び抜けて面白い。」とホームズは気を集中させて紙切れを調べていた。
と友人が頭を抱えると、警部は自分の事件がロンドンの有名探偵に響いたとにんまりする。
「今の話では、」とすぐにホームズは続ける。「強盗と使用人が通じ合っていて、これが渡された指示書かもしれぬとのことだが、独創的であながちありえない読みではないでしょう。
と友人は再び頭を抱え、そのまましばらく考え込んでしまった。
そして頭を戻すや、私は見て驚いたのだが、その頬には色が差し、その目は病む前と同じくらい輝いていたのだった。
「では、」と友人は言い出す。「いささかばかりこの事件を詳しく見させて頂きたい。
よろしければ、大佐、僕はワトソンくんとあなたに失礼して、この警部と回って、若干の思いつきをひとつふたつ正しいか確かめたいのですが。
「ホームズ先生は外の原っぱをあちこち歩いておられます。」というのが彼の話だ。
ここだけの話、ホームズ先生はまださほどご病気が治っておられないのではと。
「変ななりふりながらも筋が立っている、と私はいつも理解しております。」
「たいていの人は、そんなの筋が変だと言いますね。」と警部はつぶやく。
「ところで先生は出かけたくてたまらないそうですから、大佐、整いましたら出るのが最善かと。」
外ではホームズが行ったり来たりしており、顎を引いて両手とも下に突っ込んでいた。
「犯行現場まで行ってきたそうだが。」と大佐が訊ねる。
それからカニンガム氏とご子息にお会いして話を。そして逃げるときに犯人が壊したという庭の生け垣の正確な位置を教えてくれました。
ですがこれといって得るものはなく。弱り切った老婆でしたので。」
この訪問のおかげで、いくらか晴れてくれるだろうと思います。
これはふたりのあいだでも一致していると思いますが、警部、死体の手にあった紙切れ、確かに死亡時刻が書かれているわけで、きわめて重要です。」
とにかくこの覚え書きを記した男が、その時刻にウィリアム・カーワンを寝台から引っ張り出したのです。
「見つけられると思って地面を丹念に調べたんですが。」と警部は言った。
なぜその何者かはどうしてもそれを手にしたいと思ったのか。
懐に押し込んだ。おおよそのところ、死体に切れ端が握られたままなのを気づかずに。
その紙の残りが手に入るなら、謎も解決へとかなり近づくことになるのは明らかです。」
Copyright (C) Sir Arthur Conan Doyle, Otokichi Mikami, Yu Okubo